保編 新鮮な驚き
新暦〇〇三十一年三月二十五日。
基本的にはお互いにこれといって干渉するでもなく、それぞれ自分の役目をこなしてるだけ、って感じだろうな。
なにしろ
一方、
自分とは噛み合わないタイプだと承知してるんだろう。
人間社会でもよくあるよな。ただ、ここで相手を毛嫌いして要らんことをするとそれがトラブルの原因になる。だからこういうのは不干渉に徹するのがコツだと俺は思ってる。相手が絡んでくるならまた対処法を考えなきゃいけないにしてもそうじゃないなら関わらないのがやっぱり一番じゃないかな。
ましてや相手がスルーしてくれてるというのに自分から絡みに行くとか、まったく意味不明だろう。
そういう意味では、二人は上手くやってくれてると思う。
が、ここに来て
それまでは、意識してか無意識かは定かではないものの
「
メイフェアのその報告には、俺も、
『さもありなん』
と思わされてしまったな。
しかしなんとも、まるでラブコメ物の漫画のような展開だ。
『お兄ちゃん大好きな妹がべったりな状態が普通だった兄が、妹が他の男と接近するようになってやきもきする』
とか。
はっは~! ベタ過ぎるぞ!!
などと思いながらも、まあ、自分の孫のことだからそれなりに気になったりもするわけで。
「取り敢えず様子見ですね、お祖父さん♡」
シモーヌがちょっと悪戯っぽく言ってくる。
むう……
「まあ、そうだよな。それしかないよな」
俺としても、<祖父の立場>で孫の人間関係に口出しするというのは、親としての立場以上に何か違う気がするし。
なにしろ、
加えて、
しかも、大きなトラブルになっているなら見過ごせなくても、少なくとも今はそういうのじゃないというのもある。
いやあ、<親の気分>とはかなり趣が違いますな。
初孫が生まれてからももう二十数年経ってるというのに、今なお新鮮な驚きを味わわされるよ。
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