翔編 本当に素晴らしい

そんなわけでモニカとハートマンにはさらに頑張ってもらう。


ドーベルマンシリーズより格段に高機能になったことで工程も複雑になり、コーネリアス号の工作室だけではすべての工程を効率的にこなせないので、モニカとハートマンが補ってくれてるんだ。


なお、アリスとドライツェンは、材料さえあればドーベルマンDK-aを作ることもできる。


なので、必要なら、アリスとドライツェンのサポート役としてドーベルマンDK-aをベースにした新しいロボットの制作も考えている。


今のところはそこまでは必要じゃないが、人間が増えてくるとそれだけマンパワーも必要になってくるだろうしな。


アリゼドラゼ村もアリニドラニ村も非常に順調に開発が進んでる。それぞれ、アリゼとドラゼ、アリニとドラニは、本当に人間のように、<村の住人>として暮らしていた。


そしてアリゼドラゼ村では、鈴良れいらの妊娠も順調のようだ。これで生まれれば、俺にとっては<初曾孫>ってことになるな。


楼羅ろうらのことを考えると不安もあるものの、可能性だけを言ってたらそれこそ身動きが取れなくなる。人生ってのは、基本的に、


『なるようになれ』


でいくのが一番だと思う。その中で、最善を尽くせばいいだけだと思うんだ。


やれる努力はして、できる準備はして、それでもどうにもならないことだってある。むしろできる準備なんてたかが知れてる。そういう、<どうにもならない部分>については開き直るしかないと、俺は学んだよ。


楼羅ろうらのことだって、当然、悲しいし苦しいが、出てしまった結果に囚われすぎちゃ、他の準備が疎かになる。そうしてできる準備をしないことで次の不幸を招くことだってある。


苦しさも悲しさもしっかりと抱えて、でも人間は生きていくんだ。そうしてると時には幸せだって転がり込んでくる。


ここで家族を持てたことが、俺にとってはまさにそれだ。


れんのこととか、ひそかを、じんを、ふくを、ようを見送ったこととか、今だってはっきり言って辛い。


でも、だからこそ家族に出逢えたんだ。苦しみや悲しみと、喜びや嬉しさは、表裏一体。


それを胸に刻み、ひかりあかりにもそれを伝えていって、


『生まれてきて良かった』


と思ってもらえるようにしたい。


なんて話をしたら、


「何言ってるの、お父さん」


「私達は今でも十分、生まれてきて良かったと思ってるよ」


とか言ってくれる。


こんな頼りなくて情けない親の下に生まれついても、そんな風に思ってもらえるんだ。


だから俺自身、


『生まれてきて良かった』


『生きてて良かった』


って思える。


本当に素晴らしいよ。


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