翔編 一か八か
「私が
俺とエレクシアがローバーに乗り込もうとした時、イレーネがそう提案してきた。
「では、そのように。よろしいですか? マスター」
さすがにロボットは判断が早い。俺もつい咄嗟に、
「それで頼む…! 戦闘モード!
と応えていた。
俺の命令を確認した瞬間、エレクシアの姿が見えなくなる。
バッテリー切れの心配なく全力稼動ができるエレクシアを先行させる方が、間に合う可能性は高くなる。それでも障害物の多い密林の中ではおそらく十分以上は掛かるだろう。それまで
俺としてはもう祈るしかない。
「
イレーネの運転で走り出したローバーの窓から身を乗り出して、俺は、異変を察して家から出てきた
「任せて!」
家は任せておいて大丈夫だ。だから
タブレットで状況を見ると、
しかし、銃で援護しようにも、ドローンで援護しようにも、かえって
「くそ……っ!」
つい悪態を吐いてしまう。じれったくて変になりそうだ。
まだ一分も経っていないのに、
『エレクシアはまだか……!』
なんてことも考えてしまう。
どんなに覚悟をしているつもりでも、いざとなれば人間なんてこんなもんだ。
でも、自分の孫がこんな形で死ぬところなんて見たくないからな。
だが、どう足掻いても駄目な時というのはある。
まさに今がそれだった。
「
俺が睨みつけていたタブレットの画面の中で、マンティアンが
「ぎーっ!!」
切り裂かれるような
だから俺は命じてた。
「ドラゼ! 撃てっ!! 撃てえっっ!!」
エレクシアは間に合わない。ならば、もう、一か八かだ。
俺の命令に、ドラゼは躊躇うことなく応えた。マンティアン目掛けて自動小銃を放つ。
パパパパパッ!!
と連続した銃声がタブレット越しに響き、マンティアンに命中するのが見えた。
だが、それと同時に、
「ガヒッッ!!」
マンティアンのそれじゃない悲鳴。
マンティアンも怯んでいるのが分かるが、しかし放たれた弾丸のうちの数発が
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます