翔編 いよいよ動き出した

新暦〇〇三十年十二月十六日。




なんてことを思ってる間にもいろいろ準備は進んで、あかりとビアンカとイレーネによる<チームBブラボー>が本格的に始動することになった。ちなみに、れいはイレーネから離れようとしないので一緒についていく。


まあ、ビアンカ自身がアラニーズであることもあって、そこにさらに武装してるから並の生物相手ならほぼほぼ無敵状態だし、警護についてはそんなに神経質になる必要もないだろう。あかりももう要領が分かってるし。


なお、三人が乗っていくことになるビアンカ専用ローバーについては、あかりが一緒に乗り込んで調査に行くために細々と仕様変更が必要だったこともあって今日まで掛かったが(というのは建前で、実際には別に急いでやらなきゃいけないことでもなかったから何だかんだと後回しになってただけだったり)、とにかく今回が三人での初の調査だ。


と言いつつ、今日はあくまで予行演習みたいなものだが。


「それじゃあ、気を付けてな」


「無理はしないでね」


俺とシモーヌに見送られて、


「は~い♡」


「それでは、いってきます」


あかりとビアンカがローバーの中から応えた。ビアンカは相変わらず敬礼で挨拶してくる。任務ってわけじゃないんだからそんな堅苦しくしなくてもいいものの、もう癖になるくらい身についてるってことなんだろう。


で、何度もローバーが通ったことで未舗装の道のようになったところを通り、今回の目的地W229地区へと二人は出発した。ひかりの妊娠出産で中断していた調査の続きということでな。


あかりとビアンカがイレーネを伴って調査に行ったから、俺とエレクシアは今日は家で待機だ。交代で調査に出ていた時と同じで交代制にする。家族を守らなきゃいけないし。


ちなみに、新しい集落候補地については、試掘でちゃんと水が出たことで、今度、コーネリアス号から持ってきた井戸掘り用のマシンでちゃんとした井戸を掘ることにする。全自動で掘削から井戸そのものを作るまでやってくれる優れものだ。


さすがに二千年も放置されてたからメンテナンスが必要だったが、基本的には(メイトギアに比べれば)そんなに複雑な機械でもないから、経年劣化してた部品を新しく作らないといけなかったりはしたものの特に大変な作業でもなかったらしい。これは試掘用のドリルも同じだった。


コーネリアス号は惑星探査用の船だから、当然、様々な道具や機械が装備されてる。これまでは俺達だけが取り敢えず生活できてれば良かったからそんなに使い道もなかったにせよ、今後はどんどん使っていくことになるだろうな。


そのためのメンテナンスも順次行っているところだ。


いよいよ動き出したって感じもある。


もちろん、アリスシリーズとドライツェンシリーズの製造も平行して行ってて、弐号機の完成も間近だ。


弐号機が完成すると、それを新しい集落候補地に配備することになるな。


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