走・凱編 枚

続いて、かいの三人目のパートナー、まいについて触れようか。


まいも、せんしゃくと同じように気が強く、一緒にかいをイジメてた雌の一人だ。


しかし、彼女もあくまで強い雄をボスに頂きたかっただけで、ことさらかいに恨みや嫌悪感があったわけじゃないらしく、かいに屈服させられてからはあいつのことを認めてくれたようだ。


今ではしっかりとかいを支えてくれている。


しかも、そうのグループとも合わせて一番狩りが巧い。獲物の動きを察するのが巧いと言えばいいのか、無駄のない動きでひらりと獲物に飛び掛り、さくっと倒してしまう。


今回、かいりんの助けに向かえたのも、まいが獲物を確保してくれたからというのもあったようだ。


ありがとう、まい


なお、まいも本当はそうを狙ってたようだが、何度も言うようにそうけいにしか興味を示さなかったことで、仕方なくかいに乗り換えた口である。


とはいえ、これもあくまで強い遺伝子を残したいという雌の本能ゆえのことだと思うので、俺としてはとやかく言うつもりはない。それに、今ではかいの強さを認めてくれてベタ惚れみたいだし。


だからか、ぼうういという二人の娘が早々できた。かいのパートナーになったのは三番目だが、二番目のおんよりも先に子供ができて、ぼうういはすでに戦力として活躍している。


なお、ぼうういも母親によく似て気の強い雌だ。そして狩りも巧い。特にまいとのコンビネーションプレイが圧巻で、この三人がいれば他は要らないんじゃないかなって感じさえする。


それでも、たぶん、上手くいってる時はまい達が優れてるんだろうが、それだけでは常に上手くいくとは限らないんだろう、そもそも獲物が十分にいなければ彼女らも力を発揮できない。今回だって、おんが他の畑に来ていた獲物達を逃げさせてくれたおかげでこちらに獲物が集まり、それで彼女達が力を発揮できたというのもあるだろうし。


本当に大したもんだよ。


あと、普段のまいは割りとかいに甘えていることが多い。彼女としてはそうしてると落ち着くらしい。


そんなわけで、今日も獲物を確保できたのもあり、りんを助けに行っていたかいも合流して、意気揚々と自分達の巣であるコーネリアス号に戻っていく。


獲物をしとめたその場で食べることもあるものの、やはり落ち着いて食べられるということで、持ち帰って食べることが多いようだ。それに持ち帰った方が、残った時にはりん達に<おすそ分け>できるしな。


とにかく、今日は無事に生き延びられたんだ。素直にそれを喜ぼう。


ビアンカも、ローバーの自分の席に設置されたモニターでその様子を見ていたらしい。それであんが母親を守ろうと立ちはだかった時には、


「危ない!」


と声を上げてしまったらしい。あんの身を案じてくれたのは嬉しい。


やっぱり彼女には幸せになってもらいたいよ。


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