走・凱編 モックアップ
メイフェアに手伝ってもらって、本体の方にも服たビアンカだったが、鏡の前に立った時、
「似合わない……」
と呟いたそうだ。
その時の気持ちは俺には分からない。ただ、残念だったんだろうなとだけは感じたな。実際、俺もその姿を見た時には、何と表現していいのか分からなかったし。
それでも<裸>よりはマシと服を着るようにしたらしい。
だいたい、ここではファッションセンスだのなんだのはまったく意味がない。
なお、今のビアンカにとってコーネリアス号の通路は狭くて通りにくいので、結局、カーゴスペースからは動くことがなかったそうだ。
ただ、そこのモニターに映し出される
「幸せそうですね……」
とも言ったそうだ。
レオンは人間の感覚からしても『美しい』といって差し支えない見た目をしてるのでビアンカとは事情が違うかもしれないが、それでも人間ではない
と同時に、
「こちらは…?」
別のモニターに映し出された、
「あっちの群れの
「へえ……」
そう呟いたビアンカの視線の先には、日差しを避けてコーネリアス号の陰で家族で寄り添い合って休む
その時、
「シモーヌ。コーネリアス号のAIが、アリスについて意見を求めています」
とメイフェアが告げてきた。コーネリアス号で製造に向けていろいろ試行中のアリスに関して、実際の利用者となるシモーヌに意見を求めてきたらしい。
同時に、俺に対してもタブレットを通じて意見を求めてきた。
で、見ると、アリスの頭部デザインの案に基いた彩色済みのモックアップが工作台の上に置かれていた。画面上の3Dモデルでは分かりにくい、実際に見た時の印象についての意見を求められたんだ。
それは、メイフェア達メイトギアとは違って一見しただけでロボットと分かるデザインのものだったが、パッと見の印象として
「
俺がタブレットを通じて見ていることが分かってるから、そんな風に訊いてくる。
「そうだな。俺もこの線でいいと思う。でも、
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