明編 陣痛
新暦〇〇二八年十月二十九日。
はてさて、なんだかんだとありつつも、結局は俺の<群れ>に合流することになった
だが、基本的には俺の家の日当たりのいい場所で甲羅干しと言うか日向ぼっこをしてることが多い。
狩りの時以外には外をうろつくこともなく、
とは言え、
「大丈夫だよ、お父さんがいたら平気だから」
ボスである俺が侵入を許したというのは、安全という意味だと、
それでも、やっぱり怖いものは怖いし、天敵である事実は変わらない。
臨月を迎え、もういつ子供が生まれてもおかしくない
これまでは、縄張りの見回りも兼ねて密林に餌を取りに行っていたりもしたが、今ではセシリアが届けてくれる食事だけで済ましている。
こうなると運動不足を心配しないといけないものの、家の中の構造は、わざと梁などを剥き出しにした上に天井を高くし立体的な動きがしやすいように作ってあるので、それをしっかりと活用すればそんなに鈍ることもないだろう。
それだけじゃ足りない分を、外に出て散歩するなどしてこれまで補ってきた。
だが、いよいよ<その時>が来たようだ。
「う…うう……!」
呻き声をあげた
「陣痛が始まりました」
と告げてくる。
「あ、ああ、分かった。よろしく頼む」
幸い、ここには、
それでもやっぱり心配は心配なので俺も付き添ってやりたかったが、
「お父さんは
って、
まあ、娘の出産に立ち会う父親の話は滅多に聞かないので当然と言えば当然なんだろうが、なんか寂しいなあ……
「元気を出してください、お父さん」
俺と同じように入れさせてもらえなかったシモーヌが、寝ている
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