誉編 確認
食らうために口を開けたのであればすぐに閉じられるが、咆哮の為に開かれたそれは、閉じるまでに僅かに時間を要するからだ。
そしてエレクシアは、自分から、
「え!?」
と俺が声を上げた時には、既に彼女の姿は、
「エレクシアっ!?」
俺が彼女の名を叫んだその時―――――
―――――いや、突き出たのか。
数瞬の間をおいて、俺にもようやくそれが何か分かった。
<腕>だ。血まみれの腕が、額の脳天を突き破って突き出たんだ。
それは紛れもなく、エレクシアの腕だった。彼女が、
外からではダメージが十分に通らないからということで、エレクシアは中からのそれを狙っていたらしい。
だからといって躊躇なくそれを行う辺りが、さすがにロボットということか。
と言うか、たとえロボットであっても、自身のすべてを制御している中枢を破壊されてはお終いである。
自身の口の中から脳を破壊されたことにより、
倒れてからも、何度もビクビクと痙攣したが、それもやがて収まり、静かになる。
「死んだ……?」
タブレットの画面を凝視したまま呟いた俺の目に、半開きになって泡混じりの血を溢れさせる
それが僅かに動いたと思うと、押し広げるようにしてずるりと血の塊のようなものが吐き出された。
いや、違う……
「エレクシア…!」
エレクシアだった。
「
ぬらりと血を滴らせつつエレクシアが言うのに合わせるように、
「うおっ! うおおっ!!」
「うぉう! おっ!! うぉーっ!!」
「うあっ! あっ、あっ!!」
という声が、密林に響いた。
恐ろしい外敵が倒されたことを悟った
だが、興奮している
「倒せたんだな……」
俺は、ローバーの中で、一人、ぐったりと椅子にもたれかかったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます