誉編 光と順
「ここがお前達の新しい家だ」
「いえ……」
俺の説明に、いまいち分かってるのかどうなのか分からない反応で
そんな彼に、
「あ、あうあ」
と話しかけた。
『私とあなたの新しい<巣>だよ』
パパニアンとしての<言葉>でそういう意味らしい。
それでも、
「いえ…! ひかりとぼくのいえ……!」
まあ、実際には
パパニアンとして育った
前の仮設の家ではどうにも声がダダ漏れだったから、睦み合う時には
新暦〇〇二八年五月十日。
で、まるでそれを証明するかのように、新しい家で暮らし始めて二ヶ月ほどで、
「赤ちゃん、できたみたい……」
だと。
すると
「お姉ちゃん、現金~♡」
と、少し冷やかすように指で腕をつついていた。
そんな
まあ、今までは
でもまあ、とにかく待ち望んでいたことではある。
俺達の<群れ>にも、また新しい家族が増える。
「また忙しくなりますね」
シモーヌもそう言いながら、嬉しそうに目を細めていた。
だが、そうして俺達にとっては待望のニューカマーもありつつ、実はあまり好ましくない新しい命も、この台地で育っていたんだけどな。
まったく。まだまだ退屈はさせてくれないようだ。
正直、嬉しくないアトラクションではあるが。
できることなら勘弁してほしいものだよ。
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