巣立ちと言うか(婿入りと言うか)
当人達にしてみればそれこそ命のやり取りだったのだろうが、傍から見てる分にはどことなくじゃれ合いにも見えなくもなかったことで、命を落とす必要もない気がして、程々のところで
とは言え、双方共に恐ろし気な顔つきで、
「ガアァッ!!」
「ギィィッ!!」
と吠えているから、『怖い』と感じる人間には怖いだろうけどな。
だがそういう光景を散々見てきた俺達には、命を落とすほどのことでもない限りは割と可愛いようにも感じられるまでになってしまっていたかもしれない。
しかも、そんな空気を読んだ訳でもないんだろうが、いつしか本当に
もしかすると、お互いに一歩も引かないその超強気な姿に共感するものでもあったのだろうか。二人、いや、二匹並んで周囲を睥睨するような様子も見られるようになっていた。
で、ついには、
まあ、自分が生まれた群れから『巣立った』ということなんだろう。その堂々たる佇まいからは、ようやく巣立ちを迎えた若い
なんと言うか、<嫁入り>ならぬ<婿入り>って感じだろうか。
しかしそうなると次の展開は早く、あっさり
だが同時に、本来は産みっぱなしで丁寧に卵を守ったりもしない筈の
もしかすると、陸号機が彼女を守ってたのを倣ったのかもしれない。もちろん『守った』と言ってもそんなに丁寧に守ってた訳じゃないが、それでも一般的な
それで言えば、俺も、自分の子供達になるべく丁寧に接するように心掛けてきてよかったよ。
卵が孵ってからも、
それが、新たに群れに加わった雌だけじゃなく雄達にも伝播したのか、同じように子供を守るような振る舞いを見せるようになっていった。
<子育て>と言っても、さすがに多くの哺乳類の親が見せるほど丁寧なものではなかったが、少なくとも他の
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます