問題が起こらないのなら(別に口出しするつもりも)
新暦〇〇二二年八月四日。
まあ、今回のことは確かに恥ずかしかったが、自分のみっともない部分についても受け止めてくれる家族なら、たぶん、そんなにダメージにはならないだろう。
って言うか、実際、『恥ずかしい』だけで済んだと思う。いたたまれないとか、もう二度と顔を合わせられないとか、そこまでじゃなかったし。
これがもし、家の外でも中でも完璧でいろという考えの家人のいる家だと息が詰まってしまって俺はきっと耐えられなかっただろう。
『こんなところにはいられない』と思ってしまったんじゃないかな。
『家の外でも中でも完璧でいるべきだ』と考えるのも個人の自由だとしても、少なくとも俺はそんな家にはいたくないな。帰りたくもない。自分の家で油断して寛ぐこともできないとか、地獄としか思えない。
だから俺は、
もっとも、
他でもない俺自身がそうやってあれこれ口出しされるのが嫌な性分だからな。
シモーヌと<隣人>でいるのも、そういう意味ではちょうどいい距離感のような気がする。家族の気安さでお互いにあれこれ口出ししてしまわないようにする為には。
彼女はとても素晴らしい女性だが、少々俺には過ぎた女性という気もしてるんだ。彼女が自分の<妻>だったりしたら、負い目を感じてしまいそうなくらいには。
彼女にとって相応しい男でいるのは、大変だと思うよ。
その点で言えば、
なかったんだが……
俺がその異変に気付いたのは、一週間くらい前だっただろうか。いつものように食事に出ていたらしい
「おい、
俺が問い掛けても、
元々、言葉での会話は成立してなかったものの、俺が言葉を掛ければそれには何らかの反応を返していた
「
なんだか不機嫌そうにしていたのが分かったのだった。
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