みんな懸命に(生きようとはしてくれてる)
新暦〇〇一一年十一月二日。
インモラルなフィクションのネタとして<兄と妹>ってのは定番の一つなんだろうが、
だから、あいつらのことを面白おかしくウケるように<インモラルな話>のように語るのは違うと思うんだ。
あいつらにとって自然な気持ちで選んだパートナーがたまたまそうだったというだけで。
で、安全なここでなら、早々に最後まで至ってしまえると。
と言うか、
「実に興味深いです」
シモーヌがいてもお構いなしだから、シモーヌの方も学者根性丸出して二人の様子を食い入るように観察してる。
……平常心、平常心。これはこういうもんなんだ。うん。
と自分に言い聞かせるものの、正直、疲れる。
ただ、
もう自然には帰れないとしても、
あたたかく見守っ……
って、見守れるかーっっ!!
気になってしょうがないわーっっ!!
新暦〇〇一一年十一月二十七日。
なんて、最初は思ってたんだが、人間、慣れるもんだな。どんなことにもだいたい。
一ヶ月も経てば、すぐ横でやってても気にならなくなってたよ。
だから今じゃ『見守ろう』って素直に思えてる。
それに本当に仲がいいんだ。どたばた暴れまわってケンカみたいになってることもあるが、かと思えばイチャイチャしてるしな。
仲がいいんならよろしい。
しかも、
むしろ、
それは、
群れの仲間として、上手くやっていってもらう為にもな。
巣立っていった組と、居残り組と、どっちが幸せかなんてのは俺には分からないが、少なくとも居残った方が不幸せに見えないようにはしてやりたい。
生きる場所が違ってるだけで、みんな懸命に生きようとはしてくれてるはずだからな。
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