ほったて小屋(それでも気に入ってくれたようだ)
新暦〇〇一〇年一月二十七日。
という訳で、簡易ながら新たに
まあ、本当に簡易な部屋なんだけどな。
野生の状態でいきなりこんなことをされても警戒するだけだとしても、彼女は元々ここで育ったからその点では慣れているんだろう。
でも、その姿はやっぱり、『たまたま見つけた人間の建てた小屋が良い感じだったので勝手に住み着いた』感あふれるものだったのも事実ではある。
とは言え、
「子供達も健康そうで、本当に良かったです」
三人の様子を見て、シモーヌが嬉しそうにそう言った。その気持ちが俺にも分かる気がする。
我が子を食った
だが、野生の獣、しかも肉食獣と一緒に暮らすとなれば、そんなことをいちいち気にしてたら一緒になんて暮らせないと俺は思うんだ。
野生の獣は残酷で冷酷で容赦ない。でも、それが<普通>なんだよ。人間の思う<普通>とは違う。
ペットに服を着せたりしてまるで人間のように扱う者には分からないかもしれないが。
それや、人間の感覚を当てはめて分かった気になってる者にもな。
そのこと自体が悪いとは言わないにしても、少なくとも今の俺達が暮らしてる環境とは相容れないものだとも思うんだ。
可愛い可愛いだけしていればいい世界じゃない。可愛いと思いつつその可愛さの陰にあるものも認めなくちゃいけない世界なんだろうな。
俺が実際にどこまでそれができてるのかは心許ないものの、少なくとも
<子殺し>も当たり前のようにあるここで、少なくとも
ただ彼女の持つ習性や本能に従って、彼女にとっては当たり前のことをしただけなんだよ。
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