第10話 潜水艦部隊奮迅
海面の3箇所から火災炎が立ち上っていた。「隼鷹」隊「飛鷹」隊が攻撃した3隻の艦が燃えているのだ。
その内の一艦、小型空母「カウペンス」には二発の250kg鉄鋼爆弾が命中し、大規模な火災が発生していた。
「早く火災を鎮火させて飛行甲版の穴を塞げ!」小型空母「カウペンス」艦長アントニー・ラウレル大佐は必死に復旧作業の指揮を取っていた。
「艦が損傷したときにダメージを受けた艦載機も早く直せ!」とラウレルが整備長に怒鳴ったとき、右舷側から、唐突に天に轟くほどの轟音が聞こえた。
「フリント大爆発しました!」見張り員の絶叫がその轟音に重なった。
「何だと!? 潜水艦がいるのか?」とラウレルが言った。
カウペンスの巨体が破壊音とともに大きく持ち上がったのはその時だった。
「爆発音一確認、更にその奥で爆発音二確認!」潜水艦伊173号艦長伊藤信義少佐の報告に艦内が湧きだった。
「戦果を確認する」と伊藤が続けて言った。
伊藤が伊173号の潜望鏡を上げて見てみると、軽巡一隻が真っ二つになり沈みつつあるのが確認でき、更にその奥で小型空母の行き足が止まり、右舷側から総員退艦が始まっているのが確認できた。
そして、駆逐艦二隻が伊173号に近づいて来るのも確認できた。
「逃げるぞ!」と伊藤が船員に宣言するように言った。
駆逐艦二隻が徐々に近づいてきているのを見て、「潜行五十メートル、速力三ノットで退避」と伊藤が航海長三浦敏和大尉に言った。
「潜行五十メートル、速力三ノット、ヨーソロ!」と三浦が伊藤の命令を復唱した。
伊173号が助かるかどうかはまだ解らなかった。
同じ頃、伊八号潜水艦もまた米空母を雷撃できる機会を狙っていた。
「危険だが、状況を確認するために潜望鏡を上げてみるか」と伊八号潜水艦艦長高橋僚少佐が言った。
高橋が潜望鏡を上げてみると、駆逐艦二隻が確認でき、更にその先に大型空母一隻が確認できた。
しかし、その空母はさっきの航空攻撃でダメージを受けていないのか、凄まじい速度で動いていた。
「駆逐艦の下をくぐり抜けて、空母に雷撃するか」と高橋が言った。
「航海長、取り舵3度、11ノットで大型空母に向かえ、距離3000で雷撃!」と高橋が航海長に言った。
五分後
「クソ、見つかったか」と高橋が罵声を漏らしながら言った。
「艦長、直ちに魚雷を発射し、離脱するべきです!」と航海長が高橋に言った。
現在の距離は約6000メートル(目標空母まで)
「やむをえん、魚雷を直ちに発射し、急速潜行!」と高橋が言った。
三分後
「爆発音一確認、更に一確認!」と高橋が言った。
その頃、南に八十海里離れたTF22ー1もまた、日本海軍潜水艦部隊による攻撃を受けていた。
空母「ホーネット」に魚雷二本、空母「サラトガ」に魚雷一本が命中していた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます