……ねぇ、セルカちゃん達?

「さーて……(ニヤニヤ)


キツネさん達とはいっぱいイチャつけたかな?


今日は世界動物の日らしい!

まあご主人にとっちゃ毎日だろうけど(ニコッ)


もしかしたらパークを歩いてたら他のキツネさんにも会うかもね

……ひひっ

そん時はまた“仲良く”しようなっ(ニコッ)」


「セヒコ、あなたもこのヒトをからかうのが好きなようね……(ハァ)」


「べ、別にいいじゃんかよぉ!

あ、ギンギツネもキタキツネもアカギツネもありがとう!

じゃ、わたし達はお暇するぜ(ニコッ)」


「元気でねー!」

「またげぇむしようね……」






セヒコとあなたは温泉宿を出て

ゆきやまちほーの出口の近くまで辿り着いた






「薄ら寒いがもうすぐみずべちほーだな(ニコッ)


ご主人はみずべちほーのフレンズで会いたいフレンズとかいるか?

……ふぅん、ロイヤルペンギンねぇ

他にも色んな好きなフレンズがいるっぽいな


そっか、じゃあみずべちほーに向かおうじゃないか(キラキラ)


……えぇ?

ぷらちなちけっと?がないとロイヤルに会えないのかー?」






へこむセヒコ

……その刹那、冷たい風が頬を切った






「……ひっ!?

な、何だ……


……ッ!?」


「……ブルブル

うぁぁ、フレンズ?フレンズがいるね?

ささ、寒いよぉ、助けてぇ……。」






かわいらしい少女が現れた

半袖だからそりゃ寒いだろうと、あなたは上着を貸した

幸い、温泉で服を借り厚着をしたからまだ温かい






「ふぁあああ!ありがとう!

なになにー?

ねーねー、あなた達はどこ行くのー?」


「……ぁ……あぁッ……」


「……?

あなたは、どうしたのー?」






明るいフレンズだった

だがしかし、そんな少女を見て怯えるセヒコ






「……あれ?

あなたってもしかして……

……あはっ、もしかして!

久しぶりだねー!(ニコニコ)」


「……あッ……ッ……。(ビクビク)」


「あなたのご主人様、かわいー!

ねーねーおともだちになろー!

わたし、マイルカのマルカ!

マルカっていうんだー!(パァッ)

急にごめんね!これあげるから許してー!(ピラッ)

欲しかったんでしょー?」






セイワはあなたの手に紙切れを押しつけてきた

それはPPPのプラチナチケットだった






「わたし、ずっとあなたに会いたかったのに!

急にいなくなるからみーんな心配してるよ?

ドルカちゃんも、ナルカちゃんも、イッカクちゃんも、お母さんも……

イロワケイルカちゃん、フォルカちゃん、アオツラカツオドリちゃんだって!

……何で怖がっちゃうの?

わたし、悲しいよ……






……ねぇ、セルカちゃん達?」






「ぁぁぁ……」






「セルカちゃんと……ヒガンに、コトだっけ

博士が言ってた


セルカちゃん達、混ざっちゃったんだね

セルカちゃん達、何で混ざっちゃったんだろ


わたしは……


わたしは、“セルカちゃん達”の……“達”に含まれない、セルカちゃん自身に会いたいのに……」






悲しげなマルカ

別にセヒコを脅かそうとはしていないが

それでもマルカを見て顔を引き攣らせるセヒコ






「やめろ、ふざけんな、わたしは……


……私


わたしは違う

もうセルカじゃない」


「……セルカちゃん達がゆきやまの方に行ったって情報があったから

こんな寒いとこまで来たのに……

わたし、おんたい?とか、ねったい?の海に住んでるから寒いの苦手でさ(テヘッ)


……そっか

セルカちゃんはもうセルカちゃんじゃないんだ(ウルッ……)


……ごめんね


今のわたしはあなたを脅かす存在みたい


……じゃあね!(ダッ)」






そう言って走って立ち去っていくマルカ

みずべちほーに向かっているようだ

本当はマルカについて行けばみずべちほーに着くだろうけれど

セヒコがしばらくずっと立ち尽くしていた為、動けなかった──


世界動物の日の、悲劇だった

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