第164話 人材集め
休日が終わった後、本格的に領地の経営について、家臣たちと話し合いを行う事にした。
リーツ、ロセル、シャーロット、ファムなどが集まってきていた。
会議を話す前に、私はファムに聞くべきことを聞く。
「ミレーユの様子はどうだ? ちゃんとランベルクを治めているか?」
「ベンからの報告だと、今のところは特に問題なく治めているようだ」
ファムはそう報告した。まだミレーユに統治を命じてから、それほど時は経っていないし、現時点で何か問題を起こすと言うことはないだろう。
「さて、それでは本題に入るが、これからの領地経営で何に力を入れていけばいいかを話し合おうと思う。私としてはまず、人材を集めることを最初に優先してやるべきだと思っている」
最初に自分の考えを言った。郡長になり、雇うことのできる人数も増えた。まあ、財政的に苦しいということもあり、思ったほどは雇えないが、それでも数十人ほどの人材を雇える余裕はある。
「人材を見定めるのが、アルス様の一番強みですので、まず行うのはいいと思います。ただ、今までのようにご自分で通りに行き、人材を見るのは少々効率が悪いかもしれません」
リーツが意見してきた。
確かに自分で歩いて人材を見にいくのは、疲れるし、見つけた人材が家臣になってくれるか分からないから、骨折り損になる可能性もある。効率がいい方法とは言えなかった。
「具体的にどうすればいいと思う?」
リーツのことなので、何か考えがあるだろうと思い尋ねる。
「人材募集のお触れを出すのがいいと思います。身分は問わず、才能あるものを求めると。アルス様が人材を見抜く達人であるということも、伝えておけば、もしかしたら自分に才能があるかもと思ったものが、やってくるかもしれません」
「カナレ郡長になれば、広範囲にお触れを出せるし、いい方法だな。そうしよう」
お触れを出すと言うことを決めると、ロセルが意見を言った。
「あのさ。人材を募集するのもいいけど、無制限に取れるわけじゃないから、どんな人材を取ればいいのか事前に決めておいた方がいいよ」
「それは……確かにその通りだが、しかし、有能な人材がいたら取りたくなるというか」
「アルス様、ロセルの言う通りです。よほどずば抜けた才を持っている者ならともかく、最初はやはり方向性を決めて人材を取っていった方がいいでしょう」
「むう、仕方ないか」
リーツとロセルに言われると、納得せざるを得ない。
「どんな人材を取っていくのがいいだろうか。やはり戦があるから、武勇に優れた者がいいか」
「そうですね……当面はそれでいいかと思います。戦が終わったらまた考え直す必要があるかもしませんが」
「武勇に優れた人って言えば、あの新しく加入したブラッハムさんってどうなったの?」
ロセルがそう尋ねた。
「ブラッハムは、リーツに任せていたが……どんな感じだ?」
「戦いは相変わらず強いですよ。問題は頭の方ですが、結構覚えがいいです。アルス様の言う通り、頭脳もそこまで悪くはないようですね。まだまだ、大勢の兵を率いらせるのは危険ですが、少数なら率いても問題ないと思います」
順調に成長しているようだな。良かった。
「ねぇねぇ、戦いに使える人材なら、やっぱ魔法が使える人とるのが良いと思う」
さっきまで黙っていたシャーロットが初めて意見を言ってきた。
「確かに魔法が使える人材は欲しいな」
「あと、人材を集めるだけじゃなく、魔法について教えたり、魔法の研究をする施設があった方がいいと思うんだけど」
人材発掘という議題からは少し外れてはいるが、シャーロットがまともな提案をしてきたので、若干驚く。
「三人ともその表情何?」とシャーロットが不機嫌そうな表情になる。顔に出てしまっていたようだ。
現状カナレには魔法を研究したり教える施設はない。そういう施設があった方が間違いなく領地経営的にプラスになることは間違いない。
「魔法に関する施設は確かに作った方がいいでしょうね。作るには魔法適性のある人材を多く発掘する、それから建築費用、研究費用を捻出する、などいくつかハードルはありますが」
「今すぐは作れないが、優先して作るべき施設としておこう」
「そうですね。今は人材発掘を行いましょう。魔法を使う才能が高い人を優先して取るようにしましょう」
「そうだな。よし、早速お触れを出すぞ」
ロセルとリーツが協力し、人が集まりやすいような募集文を考えて、それで看板を作り、カナレの町と、各領地にある村に配置した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます