第141話 ブラッハム・ジョー
捕虜が捕らえられている牢まで行き、鑑定を始めた。
捕らえたものの身分によって、一人だけの牢や、複数人が入っている牢があった。
生活環境はあまり良くないようだ。牢なので当然ではある。
かなりの人数が捕虜となってるようだ。百人はゆうに超えているだろう。
元々大規模な戦だったので、捕らえた者たちが多かった上に、ベルツド郡長やスターツ城城主に忠誠を誓い、クランには絶対に寝返らないと、頑固な者たちも多かったため、これほど捕虜がいたようだ。
全員鑑定すると、相当目を消耗するだろな。一日で全員鑑定するのではなく、二、三日かけた方がいいかもしれない。
初日は七十人鑑定した。
思ったより有能な人材は多かった。
大事な戦なので、精鋭を惜しみなく投入した結果だろう。
二日目は昨日より多い九十人を鑑定した。二日目は平均80あった有能な人物がいた。ほかにも、武勇が90ある武人や、知略の数値が57なのだが、限界値が94ある中年くらいの大器晩成型の男もいた。
鑑定したから誰か一人くらい自分の家臣にしたいものだが、現時点で彼らは誰にも仕官する気はないようだし、そもそもそれなりの待遇を用意しないと仕官してもらえるか怪しい立場の人達ばかりなので、今は弱小領地の領主に過ぎない私に仕官してもらうのは難しいだろうな。
残りはあと約六十人だ。明日で終わるだろう。
鑑定三日目。
五十人鑑定し終えて、今日はそんなにいい人材がいないと思って五十一人目を鑑定しようとする。
「おい、お前! チビスケ! 俺をここから出せ!」
と怒鳴り声が上がった。
声の主を確認する。
まだ若い小柄な男だ
その男は私にチビスケと言ったが、どの口で言ってるのかと思うくらい小さい。
今の私より少しだけ大きいくらいである。顔もやんちゃ坊主という感じで、まだ十代だろう。
なぜ子供が捕虜に? と思ったが、肉体を見たら納得した。
かなり鍛え抜かれており、これならば戦えば強いだろう。
私は男を鑑定してみる。
ブラッハム・ジョー 17歳♂
・ステータス
統率 50/102
武勇 91/92
知略 9/61
政治 5/55
野心 88
・適性
歩兵 S
騎兵 A
弓兵 B
魔法兵 D
築城 C
兵器 D
水軍 D
空軍 D
計略 D
何か凄く極端なステータスだ。
武勇は凄く優秀だ。それより統率の限界値がいいな。102は今まで見た中で一番か?
しかし、現在の知略の9。これはあまりにも低すぎる。
それ大丈夫か? 日常生活まともに送れてる? と心配になるレベルだ。
そこまで知略が低いと、武勇が高くても馬鹿だから一対一の戦いで負けてるんじゃないだろうか。
ただ限界値はそんなに悪くない。
勉強させれば普通になるようだ。
現在値で見ると、欠点が目立つステータスだが、限界値で見たらかなり優秀な将になるポテンシャルを秘めている。
詳細な情報も見てみよう。
帝国歴百九十四年三月三日、サマフォース帝国ミーシアン州ベルツド郡スターツで誕生する。父親と母親はどちらも他界。単純な性格。肉が好物。喧嘩が趣味。若くて強い女が好き。主であるステファンには不満を抱いている。
両親はすでに他界して兄弟もいない。まだ若いのに身内がいないのか。
しかし、主に不満を抱いている?
ここにいるものは仕官を拒んでいるものだけである。忠誠心のあるもの以外は、あっさりクランに仕えると選択をしているはずだが。
なぜクランに降らなかったのだろか?
野心がやたら高いから、他人に仕えないタイプ……だったらステファンにも仕えていないだろうし。
気になるな。
「おい、お前何をじろじろ見ている。喧嘩を売っているのか? 喜んで買うぞ!」
私を睨んでチンピラみたいな事を言ってきた。
戦場をだいぶ経験して、多少は根性が付いたので、この程度では動揺しない。
主に不満があるのになぜ仕官しないのか気になるので、私は理由を聞き出すことにした。
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