第132話 スターツ城攻略戦①
私たちは、スターツ城の北西を目指して進軍する。
なるべく早く、しかし敵に気取られないよう気を配りながら、進軍をする。
敵に気取られずに到着した。
話の通り、城の北西は斜面になっており、城壁を壊しても入り込むのには時間がかかりそうだ。
現在、正門では本隊が攻城戦を仕掛けているようで、かなり騒がしくなっている。
これにより、敵は正門にくぎ付けになっているだろうが、それを加味しても奇襲が成功すると、確信を持つことは出来なかった。
「さて、すでに本隊は戦闘を開始したようだ。我々も一刻も早く、城壁を破り、城内へ侵入する必要がある」
ルメイルがそう言って、魔法兵に準備を促した。
魔法を放つのに使用するのは、大型触媒機だ。
大型触媒機はロルト城に三つだけあったので、それを持ってきて使用している。三つには事前に魔力水を満たして、それを横一列に並べている。
爆発の魔力水はそれほど多くないため、一番魔法を使うのが上手い者だけが魔法を使用する。
この隊で一番魔法が得意なのは、当然シャーロットだ。
爆発の魔力水で満たした大型触媒機をシャーロットが操作し、呪文を唱えて爆発魔法を使用した。
城壁に命中する前に、見えない壁に阻まれた。防御魔法である。
一撃で壊すことは出来なかった。
流石にスターツ城の守りは固い。
「むぅ……次ー」
一撃で壊れなかったのが、シャーロットは不満なようだ。
一発で大型触媒機の魔力水が空になるほどの魔法をシャーロットは使用したため、次の魔法を使うため隣に置いてある触媒機を使う。
三発で壊れなかったときのために、最初に使った触媒機にほかの兵たちが魔力水を満たすのも忘れない。
シャーロットが二発目を使用。
まだ壊れない。
二発も使っていると、敵の軍勢はもう奇襲には気づいているだろう。
急いで壊さなくては。
そして三発目。
防御魔法を壊して、壁にひびを入れた。
「よし、あと一発!」
シャーロットはもう一発を急いで放ち、見事スターツ城の城壁を破壊することに成功した。
「さて、メイトロー傭兵団、先陣を頼む!」
「了解」
城壁が壊れたあと、最初に城に侵入する役目は、メイトロー傭兵団が務めることになっていた。
先陣は重要な役目で、危険度も高い。
傭兵団が務めてくれないだろうと、最初は思っていたが、ルメイルの打診をあっさりとクラマントは首を縦に振った。
どうやら、クランから報酬としてもらう金は、かなり多額なのだろう。契約期間中は絶対服従に近い扱いになっているようだ。
クラマントは傭兵団の面々を集めて、斜面を駆け上がり、城壁が崩れた場所へと向かった。
どうも、敵兵が崩れたところに駆けつけているようだが、想定外な攻撃なためか、岩を転がすだとか、魔法の罠を仕掛けるだとか、そういう事は出来ていない。
達人級の強さを誇るクラマントが、先頭で斬りこんで、それに団員たちが続き、敵兵を蹴散らしている。
「我々も続くぞ!」
優勢であると見ると、ルメイルがそう号令を出した。
今回、私やルメイルは後方にいるのだが、最後は城に入り込む予定である。
全軍を突入させるため、下手に外に残っていても危険であるので、一緒に行くしかない。
そのため、今回は下手をしたら剣を取って戦う羽目になる可能性もある。正直、私は強くないので、よほど弱い兵士相手じゃないと、まともに戦えないと思うが。
ロルト城に残っとけば良かったと、今更ながら思ったが、来てしまった以上あとの祭りだ。
私の横にいるロセルも、同じように思っているのか若干震えていた。
戦いはクラマントのおかげなのか、かなり有利に進んでいるようで、どんどん兵が城内に入り込んでいっている。
クラマントの次はリーツが率いる兵たちが、そのあとミレーユが率いる兵たちがと、質の高い隊から先に突入していく。
クラマント隊は先陣で入り込んだ後、正門を開ける役目があり、リーツとミレーユ隊は、魔法兵を除去する役目を負っていた。
非常に広い城ではあるが、こちらも結構な数の兵を連れてきている。その上、クラマント、リーツやミレーユが率いている隊もあるから、効率よくやってくれるだろう。
クラマントがあっさり突入に成功した時点で、成功率は高そうだと思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます