第121話 完勝

「ダン・アレーストを討ち取った!!」


 リーツの叫び声が、戦場に轟いた。


 あの強そうな大将と渡り合い、最終的に討ち取るとはリーツはやはり凄い。


 私は結構心配していたが、全くの杞憂だったようだ。


 とにかくこれから、敵は統率を取れなくなるだろう。


 ダンが討ち取られたことで、物凄く動揺しているようだ。


「いまだ! 一気に敵を倒しつくせ!!」


 前線に行ったリーツが、そう叫んで兵たちを奮い立たせた。


 押され気味だった前線の兵たちは、勢いを取り戻し、狼狽えている敵の騎兵たちを次々と討ち取っていく。


 頑張って副将のようなものが、兵の統率を立て直そうとするが、残念ながらあまり力がないようで、上手くいっていないようだ。


 遂に猛攻に耐え切れなくなった敵兵たちが、散り散りに逃げだして行った。


 森の方向に逃げた馬たちは、まともな道がなく森になっているので、スピードが出せずに弓兵や魔法兵の格好の的となり、討ち取られていき、後ろに逃げていった兵たちは、メイトロー傭兵団に討ち取られていった。


 大勢いた騎兵のほとんどを討ち取ることに成功した。


 それも短時間での大戦果である。


 まだ敵将を討ち取るまでは至っていないが、騎兵を倒したという事は、敵は大きな武器を失ったこととなる。


「このままの勢いで、敵軍の大将も討ち取るぞ!」


 私の予想では相手は逃げると思っていたが、包囲された騎兵を助けるため、森の近くまで敵は進軍してきていた。


 数は完全にこちらの方が多く、さらに敵は主力の騎兵が壊滅している。その上、急いで援軍に行こうとしているので、陣の構築が上手くいっておらず、戦闘をする準備が出来ていない。


 勝利はほぼ確実であるように見えた。


 まず最初に、ダンの首を取ったという事を敵軍に知らしめる。


 相当名の知れた人物だったようで、敵軍に衝撃が走った。


 それを見て、メイトロー傭兵団が先駆けて突撃。

 クラマントが先頭を走り、五百とそれほど多くない数の騎兵での突撃であったが、凄まじい強さで敵を討ち取りまくり、敵軍を大混乱させる。


 それを見たルメイルが、総攻撃を指示する。



「敵将ジャンの首を討ち取れ!」



 このタイミングで大軍に攻められ、敵の兵は怯え何人か脱走する兵たちが現れている。


 ただ敵将ジャンに引く気はないようで、


「我々に引くという選択肢はない!! 戦うのだ!!」


 音魔法を使って指示を飛ばしていた。


 しかし、誰の目から見ても敵が劣勢であるのは明らかであった。


 数で劣る上に統率も崩れており、立て直すことは出来ていないようなので、あっさりと敵兵たちを討ち取ることが出来た。


 援軍に来た兵たちも、負けを確信すると退却を開始した。


 そして、最終的に敵将ジャンを討ち取ることに成功し、戦の勝利が決まった。


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