第110話 再鑑定
私は家臣たちが自分をどう思っているのか知るために、鑑定をしてみた。
まずリーツを調べてみた。
だいぶ能力値に成長がみられる。
以前計ったときより、全体的に成長がみられて、
統率 97/99
武勇 90/90
知略 97/99
政治 92/100
となっていた。
ついに全能力値90達成。
武勇はもうカンストしているようだ。リーツは真面目だから、常に鍛錬は怠っていない。その成果が出ているようである。
さて、肝心の詳しい情報だが……
帝国歴百八十九年五月三十日、サマフォース帝国サイツ州コーレント郡レッドルートで誕生する。両親はすでに死亡。妹が一人。真面目な性格。食べられれば何でもいい。勉強鍛錬が趣味。包容力のある女性が好み。主であるアルスの事は、忠誠を固く誓っている。
リーツの事は調べるまでもなかった……というか、調べない方が良かったかもしれない。女性の好みまで知ってしまった。
そういえば、リーツは女っ気が無いし、包容力のある女性を見つけたら、紹介してやるのもいいかもしれない。まあ、マルカ人を差別しないという前提が必要であるが。
あと誕生日だが、今が五月二十五日だから、あと五日後じゃないか。
まあ、リーツは自分の誕生日を知らなかったから、適当な日に決めて祝ってきた。
今更本当の誕生日で祝うのも、違うような気がする。
あと、ミーシアン出身じゃなかったのか。それは知らなかった。もしかしたら本人も知らないかもしれない。
両親はすでに他界……
でも妹はいるのか?
もしかしてまだ生きている? 死んだら死亡と鑑定されるなら、生きていると考えていいのだろうか。
サマフォース帝国も広いし生きていたとしても見つけられる可能性は低いが、心情的には会わせてやりたい。
次にシャーロットを鑑定。
統率 80/92
武勇 104/116
知略 45/45
政治 37/40
能力はあまり全体的に伸びていない。
まだまだ武勇に伸びしろがあるので、そこには期待したい。
本題の詳しい情報だが、シャーロットは何を考えているのか分からないところがあるので、知っておきたいところだ。
帝国歴百九十二年十一月五日、サマフォース帝国ミーシアン州マサ郡アンパールで誕生する。両親はすでに死亡。単純な性格。甘いものが好き。魔法を使う事と寝ることが趣味。甘やかしてくれる人がタイプ。主であるアルスの事は、弟のように思っている。
……弟のように思っている?
姉っぽいことしてきたことなど一度もないが……
逆に私が世話を焼いているはずだ。
まあ、悪感情を持たれてはいないようなので良かったが。
あとは大体知っていることだな。
次にロセルを鑑定。
統率 65/88
武勇 22/32
知略 99 /109
政治 77/95
数か月前より見違えて能力値が上がっている。
戦に参加したり、ミレーユに師事したりと、色々経験を積めたおかげだろう。
すでに11歳としては驚異的な能力値だが、まだ伸びしろがあるのが恐ろしいところだ。
それで、鑑定結果だが。
帝国歴二百年九月六日、サマフォース帝国ミーシアン州カナレ郡トルベキスタで誕生する。父親は健在。母親は死亡。兄が二人。ネガティブな性格。野菜スープが好き。読書が趣味。まだ異性の好みはない。主であるアルスの事は、親友だと思っている。
親友か。
これも悪く思われていないようで何よりだ。
リーツ、シャーロット、ロセルには特に悪く思われていないとは思っていたが、問題はミレーユだな。
こいつは腹の中で何を考えているのやら。
私は鑑定してみる。
能力値は変わっていない。
元々完成された能力値だったから、ちょっとやそっとでは変化はしないのだろう。
そして肝心な詳しい情報を見てみる。
帝国歴百八十一年六月十五日、サマフォース帝国ミーシアン州アルカンテス郡アルカンテスで誕生する。両親はすでに死亡。弟が一人。破天荒な性格。酒が好物。酒を飲むのが趣味。年下が好み(性別は問わない)。主であるアルスの事は、面白い子だと思っている。
面白いって……何とも微妙な表現だ。少なくとも忠誠心はないだろう。
まあ、ミレーユが誰かに心の底から忠誠心を持つタイプの人間でないとは、鑑定スキルを持ってなくても分かることであるが。
警戒はやはりしなくてはいけない相手ではあるな。
しかし、変わった好みだな。どっちでも行けるという事はバイセクシュアルなのかミレーユは。知ってはいけないことを知ったような……
さらに年下が好みとは……別に私が性的に狙われていると思ったことは今のところないが、そう言う意味でも警戒は必要なのかもしれない。
とりあえず家臣たちの鑑定をし終えた。
ミレーユ以外はたぶん信頼できると思う。
鑑定が進化したという事は、あまり他人には喋らない方がいいかもしれない。
相手が知られたくないと思っていそうな情報も、鑑定可能になったからな。
歓迎会は終了し、翌日になった。
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