第57話 ミレーユ鑑定
シャドーに人材を集める依頼をしたあと、私自身カナレの町に行き人材の発掘を行っていた。
何度も人材の発掘を行った町ではあるが、人が多いのでまだ全員を見ているわけではない。軍師の才がある人間を探したのだが、やはりそう簡単には見つからない。
カナレに泊まりながら人材を探しているので、長期間屋敷へは戻っていない。
泊まる場所は部下にも伝えているため、屋敷に報告があればすぐに届けるようにと言っていた。
現在は夜で宿に泊まっている。
一緒に来ているのはリーツとロセルとその他数人の家臣だけだ。
シャーロットには魔法兵の強化を頼んでいる。人材集めだけでなく兵たちの強化もしないといけないからな。
ロセルはカナレには来ているがこの宿にはいない。
軍議に出るかもしれないと話したら、本人は意気に感じたのかもっと勉強したいと頼んできた。
しかし屋敷の本はすでに読みつくしていたので、ルメイルにカナレ城にある本を読ませてくれないかと頼んだところ、快く頼みを聞いてくれた。
最近はカナレ城に泊まっているようだった。
ちなみに泊まっている宿はトレンプスの近くにある。ベンが報告に戻ってくればすぐに伝えてもらうようにアレックスに頼んでいる。
まあ、以前に来たのがそんなに前ではないので、今はまだ来ないだろう。
そう思っていたのだが、
「アルス様、ベンの奴が来ましたぜ」
そうアレックスから報告を受けた。
「もうか?」
「ええ、どうも良い人材を見つけて来たらしいですぜ」
それは意外だった。
こんなに早く人材を見つけてくるとは、正直思っていなった。
「これは俺の個人的な感想ですが、あんま期待しない方がいいみたいでしたねぇ。人材ってのを見たんですが、結構駄目そうな雰囲気のある女でしたぜ」
連れてきたのは女なのか。それも意外といえば意外だ。
女はどちらかというと下に見られている。私のようにステータスが見える人物でもなければ、女を家臣に推挙するというのは珍しいはずだ。
よほど才能がありそうに見えたのだろうか?
「とにかく会ってみたい。いつもの部屋にいるんだな?」
アレックスは頷いた。
「じゃあ行くかリーツ」
「はい」
私たちはトレンプスに向かった。
トレンプスに入り階段を上り、いつもシャドーとコンタクトを取っている部屋に入る。
部屋に入ると印象の薄い顔の男、ベンの横に強烈な存在感を放っている女がいた。
身長は男でも大きい部類に入るくらいの大きさだ。リーツと同じくらいある。
腰まで伸びた黒い髪はボサボサである。
かなりの眼力があり、思わず気圧されてしまう。
「まさかアンタがランベルク領主かい?」
私を見てそう言ってきた。
「そうだ」
「驚いたねぇ。まだ坊やじゃねーか」
はっきり言って貴族に対する態度ではない。一言でいえば非礼である。
少しリーツがムッとした表情になる。私はそこまで非礼を気にするタイプではないので、怒ったりはしない。
「私に仕えるつもりで来たと考えていいか?」
「そうだね。子供だとは思わなかったが、この際別にいいか」
女がそういうと、リーツの表情がさらに険しくなる。妥協してやってるみたいな感じが気に入らないのだろう。
「名前は?」
「ミレーユ・グランジオン」
グランジオンと聞いて、どっかで聞いた名前だと思った。今はパッとは思い出せない。
とりあえずこの女ミレーユが推挙されてきた女だろうから、私は鑑定を使ってみることにした。
「坊やには人を見る目があるんだって? リンちゃんが言ってたぜ? 子供なのに本当なのか怪しいけどさ」
と鑑定をしようと思ったら、話しかけてきたので、やる前に返答する。
「そうだが、リンちゃんとは誰だ」
するとベンがすぐ近くまで来て、「団長の事です」と耳打ちした。
なぜ耳打ちするのか気になったので、理由を尋ねてみたら、まだミレーユはローベント家に仕えていないため、シャドーの正体を知られたくないということだ。実はまだ伝えていない情報も多く、ベンは私とコネを持っている一般人という設定らしい。ミレーユを発見したのはファムで、ベンはファムの兄になっているとか。
色々複雑そうなので詳しく聞くのはやめておいた。
「何こそこそ言ってんだ? まあ、いいけど。で? どうなの? 坊やの目には私は有能な人間に映ったかい?」
「ちょっと待っていろ」
中断していた鑑定を行う。
ミレーユ・グランジオン 30歳♀
・ステータス
統率 93/98
武勇 70/72
知略 102/103
政治 51/55
野心 100
・適性
歩兵 B
騎兵 C
弓兵 C
魔法兵 B
築城 C
兵器 A
水軍 C
空軍 C
計略 S
驚異的なステータスを目の当たりにした。
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