11 悪魔は幸せな夢に微睡む


 ボク、ジェット・アンバーは今、幸せな夢を見ている。


 ずっと独りぼっちだったボクにできた初めての友達。


 クリスティーナ・セレスチアル。お人形のように可愛くて、花のように愛らしい女の子。


 彼女と出会って6年、悪魔なんて名乗っている自分が馬鹿馬鹿しく思ってしまうくらい、ボクは幸福と安らぎに満ち溢れていた。


 初めて彼女の存在を知った日、ボクの心は躍った。


 彼女の心の色はとても綺麗だった。


 宝石のようにキラキラと輝いていて、何色にも染まっていない透き通った心。ボクはその心に触れたかった。



 ある日、彼女は恋を知った。

 そんな彼女の心も大好きだった。


 ある日、彼女は友達ができた。

 そんな彼女の友達も大好きだった。


 彼女は大好きな人の婚約者候補になった。

 きっと彼女は大好きな人の婚約者になって結婚するだろう。


 それでもボクは、ずっと、ずっと──大好きだ。


 さようなら、クリスティーナ・セレスチアル。


 ボクの初めての友達、──ボクの大好きな人。



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