蛇足のハッピーエンド

 エルフ達の誘拐未遂から数日、無事にエルフ達は捕まり、リーシャとカイの二人は宿で療養していた。正確にはボロボロのカイの療養だが。


「そう言えばあのエルフ達、ボコボコにされた上で捕まったらしいわよ」


 リーシャがカイの寝ているベッドの縁に座りながらそんなことを言った。


「知ってる、そこの広場で野ざらしにされてたのを見たからな」


「それじゃああなた自身の噂は?」


「あぁ、助けた子供達が言いふらしてるらしいな、戦士だなんだって。全く………恥ずかしいことこの上ないな」


「その割には嬉しそうじゃない?」


「うるせ」


「あと賞与のことってもう聞いた?」


「それは知らない」


「なんか子供達を救ったってことで街長から街の永住権とか色々貰えるらしいわよ?」


 助けた対価の大きさに怪訝な顔をするカイ、その顔が面白いらしくリーシャはクスクスと笑いが零していた。


「………子供助けただけだよな?」


「その子供の中に街長の子供でもいたんじゃないの?」


「えっ、それって職権乱用とかじゃ」


「貰えるものは貰っておきましょ」


 果たして本当に良いのだろうか………、と葛藤するカイを楽しそうに見ながら続け様にポツリと呟いた。


「それにしても、永住権に名誉にそれなりのお金………更に理解力のあるお嫁さんまでついてくるんだから贅沢よね」


「まぁな…………うん? 今なんて?」


「うふふふっ! 何でもないわよ!」




 どうやら彼がいっていた自由気ままな生活はまだまだ先の話なようだ。

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理解者 アイスティー @optimistically

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