第266話 聖女ミク
魔王国王都で、魔王イリスとエキドナが勇者パーティーと対峙していた。
「あっはっはー!死ねえええええ!」
勇者リクトが跳躍し聖剣を魔王に叩き込む。
魔王の前に急に出現した悪鬼神阿修羅の結界が聖剣を弾く。
ガキーン!
退く勇者。
「ん? 誰だ! 何だか見た事がある奴だ。昔見た事がある様なない様な」
それもそのはず、痩身の美少年で三面六臂の阿修羅は、興福寺の阿修羅像そのもの。
しかし、悲しいかな勇者リクトは、阿修羅の名前がでて来ない、それ程、学は無いのだ。
阿修羅は無言で勇者をただ見詰める。
魔王イリスの魔力に当てられ、後ろに下がった賢者ツバサ、剣神ヤマト、聖騎士カイトの後ろには、俺の仲間が現れる。
魔神パズズのバズとヴァンパイア真祖のヴァラカ、雪女のユキだ。
勇者が魔王イリスとエキドナ、阿修羅と対峙しているうちに、魔王国王都をダンジョン化していた。
そして俺は、剣神ヤマト、賢者ツバサ、聖騎士カイトと仲間達は、地下に転移させて、聖女ミクも別の地下に転移させた。
勇者パーティーを分断した後、俺は聖女ミクの前に現れ話し掛けた。
俺の影にはペロが潜む。
「ミク!久しぶりだね」
「ん? 誰?」
「俺はショータだ、小さい頃君に回復魔法をかけて貰った魔抜けさ」
「そう言えば、見た事があるかも知れないわ。貴方は魔王の手先になったのかしら?」
「手先にはなっていないが、共闘をしてる、・・・のかな?」
「共闘? おかしな事を言うわね。魔王は人族の敵。一致協力して倒さなければならない存在よ」
「魔王が人族の敵って誰が言ったのかな? 枢機卿だろう。神の言葉では無い」
「あはは、神の言葉を聞けるような台詞ね。誰が言ったかなんて関係無いのよ。重要なのは、魔王を敵とみなして、人族が神の元に一致団結する事。そして魔王を倒して、神の元に平穏を得る事なのよ」
「成る程、納得尽くの行動だったんだね。その為に罪も無い異世界人を勇者として召喚し、煽てて魔王を討伐させた後で殺しても良いと、そう考えている訳だ」
「あら、そこまで知ってるのね。一般の人族の身で、そこまで辿り着くなんて、深入りし過ぎだわ」
「どうする気だ?」
「天罰が必要ね」
独りだけ地下に転移されても、余裕の表情のミクは、何か奥の手があるのだろう。魔王討伐後勇者を殺す実力を隠してるはずだからなぁ。
第六感系のスキルもあるしなぁ。
攻撃系のスキルもあるはずだ。
それとも俺が魔抜けだから余裕なのか?
聖女ミクは慈愛の微笑みを浮かべる。
この場面でその笑みは不気味だ。
聖女ミクは詠唱を始めた。
聖なる魔力が聖女ミクから溢れ出す。
輝く光がミクの全身から広がった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
宣伝です。すいません。
新作投稿しました。
6/11 0:00に
第1話をスタートしました。
こちらもご愛読いただけたら嬉しいです。
タイトルは、
『邪悪な勇者と神槍の英雄~虐げられた普通の槍兵が成り上がり「ざまぁ」する~』
URLは
https://kakuyomu.jp/works/1177354054898248060
です。
宜しくお願い致します
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