第267話 復讐は終わらない

聖女ミクから溢れ出た聖なる光が消えた時、ミクの周りには誰もいなくなっていた。


首を傾げて周りを見渡すミク。


聖なる光の魔法により、焼け爛れた死体があるはずなのに、目の前には何も無いのだ。


そして、ミクは転移の魔法を行使した。右手をあげて呪文を詠唱する。


しかし転移魔法の魔力は搔き消された。


ここで、初めてミクは焦り出した。


俺はミクが詠唱開始した時、ダンジョンの転移機能で転移していた。


初めから戦う気は無かったんだよね。


第六感系のスキルのある聖女に勝てる気がしなかったので、ダンジョン深くに転移させて逃げる作戦だ。


そして勇者と隔離して、時間を稼ぐ為に会話をしていたのだ。


聖女ミクはダンジョンの奥深い地下の部屋で1人残した。


恐らく何らかの攻撃系の魔法と転移の魔法が使える事で、余裕があったんだと思う。


しかし、ダンジョンからは魔法では転移出来ない設定にしている。


これで勇者リクトを倒す時間を稼ぐのだ。


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剣神ヤマトと賢者ツバサと聖騎士カイトを転移させた地下室では、凄惨な殺戮が行われていた。


元々、魔神パズズのバズ1人でも充分な戦力なのに、ヴァンパイア真祖のヴァラカと雪女のユキがいる上に、勇者リクトの前から魔王イリスとエキドナまでこちらに来ていた。


魔王イリスの邪悪な魔力の恐怖で思うように動けない上に、バズもヴァラカも尋常では無い速度で動く。


エキドナなんかは今までの鬱憤を晴らすかの様に、強力な尻尾で叩き飛ばし、聖騎士カイトの両手を引き千切った。


「ぐあああああああ!」

わめき散らすカイト。


バズの風刃がヤマトの四股を斬り飛ばす。


「ぐふっ、ひと思いに殺せえええ!」


ツバサはヴァラカに喉を潰されて、詠唱を出来なくされて、ユキの氷弾が全身を貫く。


「そろそろ殺してやるのだ」


イリスが口角を上げて、邪悪な笑みを浮かべた。


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悪鬼神阿修羅と対峙する勇者リクト。


「はぁ、はぁ、はぁ」


阿修羅の結界の前に、聖剣が全く通じず息を切らしていた。


「おかしいじゃん。何でも斬れるって枢機卿が言ってたのにぃ」


それどころか、リクトの前面は阿修羅の邪悪な光で焼け爛れていた。


「うぐっ、それに自動回復もしないしぃ・・・」


阿修羅は無言で矢を番え放っていた。


リクトは躱すが、追尾した矢はリクトの右腕に突き刺さり、聖剣を床に落とす。


「ぐあっ! イタイイタイ。何で矢が刺さるんだようううう。うう、嘘だろう! こんなの聞いて無いよぉ。もう、リセットだよ。リセット。ログアウトさせてくれよ。止めたいよぉおおお! 俺TUEEEEで無双し放題じゃ無かったのかよぉ。何だよぉこれぇ!」


阿修羅はゆっくりリクトに近付く。


「ひぃ」


身体を丸めて両手で頭を庇い、怯えて震えるリクト。


阿修羅はリクトの頭を掴んで持ち上げて、リクトの顔を阿修羅の目の前に顔を向けた。


「ひぃ。助けて、もう日本に返してください。御免なさい。もうしません。ねぇ。ログアウトさせてください。ああああああああああ!」


阿修羅はニヤリと邪悪な笑いを浮かべ、リクトの首を捻じ切った。


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勇者リクトを倒した阿修羅は、その後聖女ミクも殺した。


そして俺達は、気功士王国に戻った。


帝国は魔王国に滅ぼされて、魔王軍四天王であるエルダーリッチのザイガスが管理している。


魔王は約束を守って、気功士王国とその同盟国には手を出さず、友好国となった。


今日も気功士王国のリビングで寛ぐ俺の前に、魔王イリスとエキドナが遊びに来ている。


「お前等、魔王国の統治はどうなってんだぁ! 仕事しろよぉ!」


「ふふふ、妾の仕事はショータの子を生む事だ」


「ふふふじゃねーよ」


「我もショータの子を産むのだ。それが、魔王国と気功士王国の繁栄に繋がろう」


「いやいや、もう帰れえええええ!」


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因みに魔王軍四天王だった魔族で召喚士のガルダムをダンジョン機能で召喚した。


エルダーリッチとして甦ったガルダムに、元の世界に戻る為の研究をさせている。


江戸時代の日本に雪女のユキを返して、復讐させてあげないとね。


それで俺達の復讐完了するのだ。


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復讐の異世界転生者~旧題)異世界転生したけど魔法が使えず、貧乏で武器も買えないので気功で最強になって無双します。虐げた奴らに復讐だ!~ ボルトコボルト @knasm

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