第251話 セイレーンの集落が襲撃された

俺達はセイレーンの集落から離れた場所で野営する事にした。


「ご免なさい、おさがあんな態度をとるなんて・・・。本当にご免なさい」

何度も謝るセイレーンのイリヤ。


イリヤは集落に帰って良かったのに、あまりにも失礼だと思って、今日は野営地に一緒にいるみたいだ。


「良いよ気にしないで、本当はセイレーンが恩知らずとは思ってないよ」


「はぁ、僕はセイレーンの食事を、食べたかったなー」

ちょっと不満げのハーピーのハルカは、夕飯の準備をしている。


焚き火を着けてその前で丸まる空狐のクーコを、モフりながらエルフのエリがハルカを慰める。


「まあ、セイレーン料理はまた食べる機会あるじゃろう」


「そうにゃ。態々アタシ達の目的を教える必要性は無いにゃ」

ペロは俺の横で腕をペロペロ舐めている。


ハルカのいつもの美味しい夕飯を食べていると、セイレーンの集落の方角で怒声や悲鳴、魔法の爆発音が聞こえて来た。


「きゃああああああ!」


ドッカアアアアン!!!


集落が燃えている。


「集落があああああ!」

イリヤが叫んで飛び上がる。


「あー、ハルカ、イリヤをちょっと待たせて、一人で行ったら危ない」


「分かったー」


「みんな急いで片付けよう」


「はいにゃ」とケット・シーのペロ。

「分かったのじゃ」とエルフのエリ。

「承知しんした」と雪女のユキ。

「承知しました」とヴァンパイアワイズマンのヨシゾー。


野営の準備を片付けると、ドラムに乗って飛び上がる。


上空でハルカがイリヤを押し止めていた。


「ハルカ、行くよ」


「OK!イリヤ、行くよ」


俺達はセイレーンの集落に飛んで行った。


燃えている集落で争う亜人達。


黒犬の顔で身体が人の亜人と顔が鳥で身体が人の亜人、顔が蛙で身体が人の亜人が 、セイレーン達を襲っていた。


「きゃあああああ!」

「助けてえええええ!」

「剣が効かないよぉ」

「槍も効かないわ」


セイレーンの戦士も住民を守りながら戦うが劣勢の様だ。


「行くよー」

しょうがないので助けるが、やる気の無い掛け声で指示をだす俺。


魔神パズズのバズが、空中を飛ぶ鳥頭の亜人を、爪と牙で倒していく。


「なんだ? あのモンスターは!」

「味方なのか?」


空狐のクーコの狐火が黒犬頭の亜人を燃やす。


「おお!あの炎は動きながら燃やして行くぞぉ!」


ハルカの風刃が蛙頭の亜人を切り刻む。

「私達の風刃は効かないのに、彼女の風刃は亜人を切り刻んでいくわ?」


ペロが闇の槍で突き刺す。

「凄い闇魔法だわ」


エルフのエリが鵺の背に騎乗し矢を放つ。

「なんて速い矢なの」

「全く見えないわ」


俺はドラムの頭の上で立って腕を組んで見ている。


あっという間に、敵らしい亜人達を殲滅していく俺達を、目を見開き驚くだけのセイレーン達。


「ハルカ、イリヤ、負傷者を集めてくれ」


「はい、はーい」とハルカ。

「分かりました。有り難う御座います」

とイリヤ。


「怪我したひとー。こっちですよー」

「こちらに来てください」


俺はドラムから飛び降りると、集まって来た負傷者を気功で回復させていく。


「あぁ、傷が治ったぁ!」

「助かりました」

「有り難う御座います」


「おお、有り難うな、の、じゃ・・・」

次々と治療していくと、セイレーンの中に長がいた。


初めは誰に治療されたのか、分からなかった様だが、顔をあげ目と目があった。


「ん?ババアか!」


「ババアじゃないのじゃ!」

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