第249話 セイレーンの集落へ

俺達はドラゴンのドラムが引く馬車に乗って、魔王軍四天王ガルダムの研究所がある、ルーマカ山に向かっている。


「ショータ様に同行する事が出来て良かったわ」

御者席に座るセイレーンのイリヤが、ハーピーのハルカに話し掛ける。


「あの犬頭に襲われてたら、普通の亜人では連れ去られるわねー」


「あぁ、怖い怖い」


「それより、道はこっちで間違い無いのかのぅ」

馬車の中から心配げに声を掛けるエルフのエリ。


「大丈夫です。間違いありません」

イリヤはそう返した。


「大丈夫かのぅ・・」

ハルカとイリヤのお喋りが止まらない事で、エリは心配のようだ。


「まあまあ、賑やかで良いじゃないか」

俺はエリに言った。


「しかし、何度も同じ話をしてるのじゃ。良く飽きないものじゃな」


エリの膝の上には鵺のライヤが丸くなって寝ている。


「微妙に違うにゃ。まあ、有翼人種同士気が合うんだにゃ」

と俺の右隣に座っているケット・シーのペロ。


ちなみに俺の左隣に雪女のユキが座っている。ユキは静かで、膝の上にいる空狐のクーコを撫でている。


そしてヴァンパイアワイズマンのヨシゾーは、荷台の箱の中で寝ている。


魔神パズズのバズは何処かにいるだろう。いるよね?

「バズ?」声をかけてみた。


「ハイ。ショータ様、ナニカアリマスカ?」

窓の外から声がした。


「あ、呼んでみただけだから」


「了解デス」


ユキとエリが俺をジト目で見ていた。


野営地で犬頭人身の亜人に襲われた後は順調に問題無く進んでいる。


何度か野営をして進むと、ルーマカ山が近付いて来た様に見える。


「もう直ぐ行くと村もあるんですが、このまま私達の集落に来ませんか?」

御者席からイリヤが俺に聞いた。


「良いよ。そこで1泊して、研究所に向かおう」


「そうねー。セイレーンの料理が楽しみだわー」

ハルカは相変わらず食事中心の思考だ。


そうこうしてるうちに、村を通り過ぎて山道に入った。


「ショータ様!馬車では無理かもー」

馬車を止めたハルカの声に馬車を降りた。


「そうだね。馬車はキツいなぁ」

道が狭くなってきて、通れないね。


「皆降りるぞ」


皆は馬車から降りて、ヨシゾーも箱から出て来た。


俺は馬車をアイテムバッグに収納した。


「飛んで行くと早いんですけどね」

とイリヤが言う。


「うん。飛んで行くよ」


「え、みんなも飛べるのですか?」


「みんなでは無いけどね」


「どう言うこと?」


「ドラム!元の姿になって良いよ」


「了解だ」

ドラムがドラゴンの姿に戻る


「へ? ドラゴンだったの?」

イリヤは驚愕した。


「バズ、出て来て」


「承知シマシタ」


バズが姿を現す。


「え!・・・」

声が出なくなるイリヤ。


「ライヤ!」


「承知」


ライヤも元の大きさになる。


「キャッ!ペットだと思ってたぁ」


俺はドラムに乗って、エリはバズに乗り、ペロはライヤに乗った。ヨシゾーは蝙蝠の翼を展開した。


そして飛び上がる。


ユキは冷気に変わりハルカとイリヤ、クーコも自分の力で飛行する。


「凄いです。これで集落に早くつけます。では、付いてきて下さい」


俺達はイリヤの後を追ってセイレーンの集落に向かった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る