第248話 犬頭人身

俺達は魔王軍四天王ガルダムの研究所がある、ルーマカ山に向かっている。


有翼人の集落に帰るセイレーンのイリヤが、途中まで同行する事になった。


俺達は、ドラゴンのドラムが引く馬車に乗っている。


御者席にはエルフのエリと、ヴァンパイアワイズマンのヨシゾー。


馬車の中には、俺とケット・シーのペロ、雪女のユキ、ハーピーのハルカ、セイレーンのイリヤが座っている。


空狐のクーコと鵺のライヤは子猫サイズになって、ハルカとイリヤの膝の上で、撫でられながら丸くなっている。


魔神パズズのバズも何処かにいるだろう。風になっているので何処に居るかは、分からない。


「この辺りで野営にするか」

俺は隣に座るケット・シーのペロに言う。


「そうだにゃ。ここまで来れば魔都の騒動の範囲外だにゃ」


「うん。このまま夜通し、ドラムを走らせ続けるのも、可哀想だしね」


「ドラムはどうでも良いにゃ。だけどエリは少し寝た方が良いにゃ」


「ははは」


「この辺りに野営が出来そうな場所ってあるー?」

俺の向かいに座るハルカが、隣のイリヤに聞いた。


イリヤは馬車の窓から外を見て、

「そうですねぇ。もう少し先に野営地があったと思います」


俺達は野営地に馬車を止め、テントを張って寝た。


見張りは夜に強いヨシゾーに任せた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


朝起きてテントを出たら、氷漬けの亜人3人の死体が目の前にあった。


亜人の姿は頭が黒犬で身体が人間。


その上にユキが座っていた。


「ユキ、お早う!その死体はなんだい?」


「主様、起きんなんしございんす。ヨシゾーが捕まえたんでありんすが、夜が明けそうになりんしたので 、変わりんした 」


「成る程ね。ヨシゾーは朝になったから、馬車の中で休憩中だな」


「そうでありんす」


「詳しくはヨシゾーに聞いた方がいいかぁ」


「アタシが分かるにゃ」

ペロが影から現れた。


「ペロも起きてたの?」


「侵入者が来て起きたにゃ」


「みんな優秀だねぇ。どんな奴らだった?」


「どうやら、ガルダムの素材回収班的な感じにゃ」


「ふむ」


「闇魔法を使う奴らだったにゃ」


「強かったの?」


「一般の亜人やモンスターは、まず敵わないにゃ」


「ほう」


「ヨシゾーとペロには、敵わないでありんすぇ」

ユキが氷の死体から降りてきた。


「バズとユキもいるので、ショータが危ない事は無いにゃ」


「いや、それは皆の力を信じてるから心配はしてないさ。それより、イリヤはこの事は知っているのかい?」


「知っているにゃ。今はハルカと一緒に朝食の準備中にゃ」


「そうか、彼女は何か言ってたかい?」


「見た事が無いと言ってたにゃ」


「ふ~ん。取り敢えずこのまま放置するのも何だから埋めておくか」


「処理しとくにゃ」


その時、ハルカの声がした。

「朝ごはんが出来たよー!」


「むぅ、もうそんな時間かのぅ」

テントからエリがモソモソ出て来た。

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