第244話 エキドナ登場

勇者パーティーと魔都グロガの兵士達の争いは、トロルとワイバーンに乗ったレッドキャップが参戦したことで、熾烈な戦いになった。


ズバッ!


剣神ヤマトがトロルの右腕を斬り飛ばすが、トロルは構わず左腕で剣神ヤマトを叩く。


ガコッ!


「う″っ」


飛ばされたヤマトは回転し膝をつき、片膝立ちで構える。


「こいつ痛みを感じないのか?」

ヤマトが思わず漏らす独り言。


ヤマトに飛んで来る聖女ミクの回復魔法により、ヤマトは淡く光ると、ダメージを回復し再度立ち向かうヤマト。


「ミク、有難う」


「トロルは欠損再生と自動再生のスキルがありますので、注意して下さい」


「承知!」


向かい合うトロルも欠損再生のスキルで、右手が元に戻っていた。


「チィ、コレデモ喰ラエ!」


ワイバーンの背中に騎乗するレッドキャップは手斧を聖女ミクに投げ放つ。


「おっと、危ない!」


ガコン!


聖騎士カイトがアキレウスの盾を掲げて、手斧を弾く。


賢者ツバサは飛翔し、ワイバーンと空中戦を繰り広げていた。


右手の愛杖カドゥケイスから火の玉を、左手から風の刃を、そして背後に極大魔法の魔方陣を背負う。


レッドキャップが聖女ミクに投げた手斧は、ブーメランの様に戻って来る。


ツバサは火の玉をレッドキャップに放ち、躱したところに風の刃を放ちレッドキャップの首を刎ねた。


ズシャッ!!


その後、極大魔法をワイバーンに向けて放つと、爆発するワイバーンと共に落ちていくレッドキャップ。


「ひゃはー!」


勇者リクトもトロルの拳を掻い潜ると、トロルの頭を足場に跳び上がり、ワイバーンに聖剣の光の刃を飛ばす。


翼を斬られて落ちるワイバーン。


勇者リクトは落ちながら、トロルの身体を左右に切断する。


街に落ちたワイバーンは建物を破壊し息絶える。


周りの建物を破壊しながら、勇者パーティー優勢で戦いが進んでいた。


そこに魔都の外から魔獣の群れが、建物を破壊し潰しながら、溢れる様に襲って来た。


獰猛な三つ首の黒犬ケルベロスと、双頭の黒犬オルトロス、大獅子、大猪が地を掛けて突撃して来た。


聖騎士カイトが後ろから大猪に跳ね飛ばされた。


ドカッ!!


「うごっ!」


「何だぁ!」

振り返るカイトに襲い掛かる魔獣達。


「ちぃ!」


腰を落としアキレウスの盾で魔獣の攻撃を何とか防ぐカイト。


空中からラードン、ヒュドラ、ドラゴンの巨竜達と大鷲が炎を吐き出しながら飛んできた。


炎のブレスを必死に躱す賢者ツバサ。


「うぉ!いきなりかぁ!」


冷や汗をかいて魔獣を見詰め、宙を漂うカイト。


「見つけたぞぉ!勇者あああああ!」


膨大で濃厚な魔力を纏わせた美しい顔立ちの、エキドナが空中に現れた。


デルピュネとスキュラ、そして女性の上半身の下にライオンの身体で鷲の翼と蛇の尻尾を持つスフィンクスを伴い、その後ろには、キマイラ、海獣ケートスと魔獣達が続く。

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