第239話 エキドナ3

魔王国ゾルゲ町の近くで対峙する気功士王国のモンスター軍と魔王軍四天王エキドナ率いる魔獣の軍勢。


俺は魔神パズズのバズに乗って、空中でエキドナと向かい合った。


「お主、魔族?いや人間かぁ!この国を攻めに来たのか?」


俺はエキドナの問いに答える。


「流石、魔王軍四天王だ。良く分かったな。その通り俺は人間だ。現時点で魔王国と争うつもりは無かったが、エキドナが俺の宿泊する部屋を明け渡せと、武力を持って恫喝して来たので、迎え撃った」


「むむ、宿の部屋ぐらいで戦争をする気は無い。お主が魔王国と戦端を開くつもりが無いのであれば、戦いは回避したいと思う」


「まあ、魔王軍から攻めて来る気が無いのであれば、こちらも争う理由は無いよ。宿の部屋も空きはあるので、エキドナ他数名ぐらいなら、泊まっても良いしね」


「おぉ、承知した。配下を撤退させるので、妾と数名だけを泊めてくれ」


「分かった、軍は撤退する」


俺は召喚した軍団達に、「皆、来てくれて有難う。戦いを回避する事になったので、送還するよ」と言って送還した。


「何かあれば何時でも、お呼び下さい」


真祖ヴァラカ始め幹部の仲間達も手を振りながら消えていく。


エキドナの軍勢もエキドナとデルピュネとスキュラとケルベロスを残して、何処かに消えた。


デルピュネは、上半身が人間の女性で下半身が龍の半人半龍だ。


スキュラはも上半身は人間の女性だが、下半身は魚で腹から6匹の犬の上半身が生えており、蛸の足も8本触手の様に下半身に蠢く。


デルピュネとスキュラの上半身の女性は、エキドナに似ており、端正な顔立ちに艶めかしい姿態で、上半身だけ見ると三姉妹の様だ。


そして、ケルベロスは三つ首の巨大な黒犬に龍の尻尾で鬣の毛が蛇となっているのだが、エキドナに同行する為、大きさは大型犬のサイズに変わった。


そして、エキドナの斜め前で護衛をしている様だ。


「我ら3名のみ宿に泊めて頂こう。ケルベロスは番犬として同行する」


エキドナはデルピュネとスキュラとケルベロスを連れて、地上に降りた俺に近付いて来た。


「承知した」


俺の周りには、魔王国に来た時のメンバーが残っており、俺達は宿に戻った。


宿の扉の前でケルベロスに番犬をして貰い、俺達は宿のリビングで寛ぎ、俺とエキドナは会話の続きを行う。


「お主は何者だ。魔力が無いようだし、あれだけの軍勢を率いる勢力は聞いた事が無いぞ」


「学園都市を制圧して、帝国の隣に新しく国を興した。気功士王国の国王だ」


「ほほう、気功士王国か。魔王軍四天王ザイガスに聞いたぞ。魔力の無い気功士達が我が軍を殲滅したそうだのう、だが気功士達が撤退したお陰で、砦を楽に占領出来た」


「うむ。帝国とは袂を分かつ事とした。魔王国が我が国に攻めて来なければ、戦うつもりは無い。それより、エキドナは何故此処にいる?」


「妾達は勇者を倒す為に此処に来た。勇者と戦う前に戦力を減らす訳にはいかんのでな、お主らと戦闘を避けられて良かったよ。ところでお主らは何故此処に来た」


「う~ん。魔王を倒しに来たんじゃ無い事は確かだ」


「くくく、目的は言わぬか・・・」


ヴァンパイアワイズマンのヨシゾーが俺に耳打ちする。


「ショータ様、エキドナは魔王軍四天王のガルダムと仲が悪いので、話しても問題ないかも知れません」


「ほほう、ヨシゾー有難う」


俺はエキドナに向き合う。


「エキドナ、俺達は魔王軍四天王のガルダムを倒しに来た。ガルダムの研究所を探している」


俺はエキドナをジッと見詰める。


「あはは、ガルダムかぁ!良かろう、お主達の事は内密にしよう。研究所の大凡の位置も教えても良い」

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