第240話 魔都グロガ

翌朝、俺達はゾルゲ町の宿を出た。

魔王軍四天王のエキドナとはここで別れる事になる。エキドナは勇者達の足跡を追って、勇者倒すべく行動を続けるそうだ。


エキドナから魔王軍四天王のガルダムの研究所の場所も教えて貰ったので、その方向に向かう。


ドラゴンのドラムが地竜形態になって、馬車を引き凄い速度で走る。


途中で魔都グロガに1泊する予定だ、グロガは魔王が住まう魔王国の王都では無いのだが、魔王国内で3本の指に入る大都市であり、魔王軍四天王の魔族ルーデルが治めている。


魔都グロガは一言で言うと大都会だが、魔都の名の通り、不気味な形状の石造りで巨大な建物群が広大な敷地に聳え立ち、空中を飛ぶ魔獣達も確認出来る。


そして、中央には一際高いルーデルの居城があった。


ドラムの引く馬車で魔都グロガに入ると、ゾルゲ町以上の混雑ぶりから速度は上げられず、ゆっくりと石畳を進む。


「先ずは宿をとりましょう」

ヴァンパイアワイズマンのヨシゾーが俺に確認する。


「そうだね」


御者席のヨシゾーがドラムに指示し、馬車はゆっくりと方向を変えた。


ヨシゾーが案内した宿は都会だけあって、とても大きく立派な建物だ。値段も高そうな高級宿感溢れる造形。


宿屋に馬車を着けると、ヨシゾーはドラムを馬車から外し、皆が馬車から降りたのを確認し、俺は馬車をアイテムバッグに収納した。


「お腹空いたー!」


ハーピーのハルカが大きくのびをしていた。長い時間馬車の中に座っていたので、身体が痛くなってたんだろうね。


「ん?」

ハルカが宿の前にいた男を見て驚く。


「いらっしゃいませ」

その有翼人の男である従業員が宿の扉を開ける。


有翼人の男って珍しいかも。

ハーピーやセイレーンは女性しか見た事がないかも知れない。


ハルカが有翼人の男と何やら話をしていたが、俺は宿に足を踏み入れる。


宿に入ると広いロビーがあり、その奥にフロントがある。


「チェックインして来ます」


ヨシゾーがフロントに向かったので、俺達はロビーのソファーに腰を掛けてヨシゾーを待つ事にした。


ハルカが有翼人の男と話が終わったのか、俺の方に歩いて来て、俺が座ったソファーの向かいに腰を掛けた。


「有翼人種の男性って初めて見たかもね、珍しいのかい?」


俺はハルカに声を掛ける。


「うん。ハーピーもセイレーンも男は滅多に生まれないのよー。なので、声かけちゃったー」


ハルカはそう言って、アイテムバッグから、サンドイッチを出して食べ始めた。


この娘ぶれないねぇ。


「ハーピーとセイレーンって違うのか?」


「近縁種なのかなー?ハーピーは風魔法に特化していて速く飛べてー、セイレーンは風魔法以外に水魔法魔法も使えて、歌魔法も使えるねー」


セイレーンは上位互換という訳では無いのか。


「ふ~ん」


そんな会話をしていたら、ヨシゾーがチェックインを終え戻って来たので、皆で夕食を食べて 、部屋に入り就寝するのであった。

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