第237話 エキドナ

宿の部屋の扉前にドラゴンのドラムが門番の代わりに居て貰う事にした。


扉前と言っても5階全てで一部屋のスペシャルルームだから、階段を登ってきた所に扉がある。


その前にヴァンパイアワイズマンのヨシゾーが、呼び鈴で宿の従業員を呼び、ラミアの死骸を片付けて貰った。


その後、各自お風呂に入って、サッパリ汗を流して、そろそろ寝ようかと思っていたら、何やら扉の外で物音がした。


エルフのエリとハーピーのハルカと、ヴァンパイアワイズマンのヨシゾー、雪女のユキの4人は、リビングでワインを飲んでいた。


ハルカはおつまみを食べてる方が、メインみたいだけどね。


「ペロ!」

ペロを呼んだ。


「なににゃ」

ペロはカーペットの上で横になって欠伸をしていた。


「扉の外のドラムのところで、何か問題があったみたいだ」


「そうみたいだにゃ」


「念のため様子を見ていてくれ」


「分かったにゃ」


ペロはそう言うと影に消えた。


ほんの数分後、ペロが戻って来た。


「ショータ!ドラムが遣られているにゃ」


「え?そんなに早くやられちゃったの?」


それを聞いてたエリとハルカとヨシゾーとユキが、立ち上がった。


「わちきが行きんす」


ユキがそう言うと、エリとハルカとヨシゾーは、リビングのソファーに座り直す。


「ユキが行くなら大丈夫じゃ」とエリ。


「そだねー。ユキは僕より強いからねー」とハルカ。


「飲もう飲もう」とヨシゾー。


俺はちょっと心配だったので、「俺はちょっと見てくるよ」と言って、何時もの服に着替えると、扉を開けた。


「ドラム達は外に行ったにゃ」

とペロが教えてくれたので、俺は宿の外に向かう。


宿から出ても誰もいない。

俺キョロキョロしてると、ペロが教えてくれた。


「町の外にいるにゃ」


「案内してくれ」


「あっちにゃ」


ペロが指を指して歩き始めると、爆発音と眩いばかりの閃光が・・・。


「急ごう」


俺とペロは駆け出した。


そこは、町から離れた草原だった場所。魔法により地形を変わっていた。


剥き出しの土とクレーター、焼き焦げた匂い、薄らと煙りが見える。


通常サイズになって巨大な身体で蹲るドラムと、その前でぶ厚い氷の壁を展開するユキ。


対峙するのは宙に浮かぶ女性のモンスターである、・・・エキドナ!


容姿端麗で長い黒髪に赤い瞳と淫らな唇から牙が覗く。美しく艶めかしい姿態の上半身に蛇の下半身。背中には2対4枚の蝙蝠の翼を広げる。


エキドナの下には魔獣の群れが蠢いていた。


「これ、ヤバいんじゃない?ペロ!直ぐに皆を呼んで来て!」


俺はドラムの元に走る。


「ドラム!今、回復するからな!」


「ショータ様、・・・済まん、・・・儂には荷が重かった」


最強生物の一画であるはずのドラゴンの鱗が剥がれ傷付き燃やされていた。


傷付いたドラムを気功で回復する。


「ユキ、もう少し耐えてくれ!」

「承知しんした」


ユキの冷却が周りを包んでいる。

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