第230話 気功士兵団撤退後

俺達は下劣なロヤスゲ辺境伯の最後を見届けず、気功士王国の居城に戻って来た。


エルフのエリに全てを任せた。


エリの心の奥底から湧き上がる、嫌悪の感情が滲み出た表情を見たくないし、エリも俺に背を向け、これ以上は見られたくないと言う気持ちを尊重した。


俺が復讐を終えて精神的に疲れ果てた時、エリに抱きしめられて救われたので、戻って来たら抱きしめてゆっくり休ませよう。


それに、救助した奴隷の子達を一刻も早く休ませてあげなきゃね。


居城に連れて行った奴隷の子達はキャルとノノ達にお願いして、ダルアに帝国との状況を確認した。


現時点で、魔王軍は表面上は静観しているが、フロスト砦内では魔法兵団の崩壊、気功士兵団の撤退、勇者パーティーの消失で、戦力が低下し増強が急務であるが、影で前線を支えていたロヤスゲ辺境伯が、行方不明になった事により滞っている。


帝国から気功士王国へ戦力の参加を要請されているが、不手際のお詫びも釈明も無く、強く同盟契約の履行だけを要求する。


大国の姿勢には呆れて物も言えないね。


気功士王国は1歩も引かず、フロスト砦で発生した件について、強く抗議するとともに、同盟破棄を宣言した。


平等な同盟契約だったはずなのに、属国以下の扱いを受けるなんて、怒り心頭ですよ。


もう帝国がどうなろうと知らないよ。


気功士王国は帝国との共同戦線を放棄し、帝国抜きで同盟国とともに魔王軍と戦う方向に舵を切る。


同盟国にも戦力の増強を依頼し、合同訓練を行い、各国から将軍を招き戦略の検討をを行い始めた。


まあ、合同と言いながら1強の状態なので、どちらかと言うと各国の軍事指導してる様なものだけどね。


スケルトンとヴァンパイアの戦力も、各国のトップには公表した。


帝国には内緒で当然一般にも公表していないが、本格的に魔王軍と事を構えるのに本腰を入れるのだ。


数日後エリが戻って来た。


疲れ果てたが、遣りきった表情のエリを、抱きしめて休ませた。


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数週間後、魔王軍がフロスト砦を襲撃、砦には帝国内から増援をしていたが、気功士兵団、魔法兵団、勇者パーティーの穴は埋められず、勇者リクトと聖女ミクは孤軍奮闘する。


勇者と聖女は単独では互角以上の戦いをしていたが、勇者とは別の方面から攻め寄せた魔王軍の猛攻に耐えきれず、フロスト砦は陥落。


その後、勇者と帝国軍の生き残りの兵は、辺境伯の居城がある城塞都市ゲルフに撤退。


辺境伯はロヤスゲの長男オスゲが引き継いでいた。


オスゲは辺境伯領の他の都市で、経験を積むため都市を管理していたが、ロヤスゲが行方不明になった事で、ゲルフに戻り臨時で辺境伯の代理を務めていた。


勇者はゲルフに撤退した際、聖騎士カイト、剣神ヤマト、賢者ツバサと出会い、勇者は強くパーティーを組む事を要求。


臨時の領主であるオスゲには、勇者の要求を断る事が出来ず、カイトとヤマトとツバサの3人は、勇者パーティーに加入。


そして勇者パーティーは魔王を討伐する為、単独で魔王国に潜入した。

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