第219話 剣士カツエー
ガガッ!
剣士カツエーは大剣でダンジョンの地下室の壁を斬りつけていた。
「クソっ!駄目か」
剣士カツエーは魔力を全身に纏い、筋力強化している。
カツエーは、後方に突然出現した殺気に振り向き、苦虫を噛み潰した様な顔になった。
「エリ!お前の仕業かぁ!」
「そうじゃ」
エルフのエリが弓を左手に持ち、カツエーを睨み立っていた。
「くたばりぞこないがぁ!まだ生きていたとは驚きだ」
「・・・」
「今直ぐここから出せ!今なら許してやる」
「そんな言葉でここから出すと思っているのかのぅ。全くお目出たい奴じゃ」
「ふん。お前がゴブリンや貴族に弄ばれてる間、俺達は強敵と戦いSランクに昇格し、勇者とともに戦場を戦い抜いてきたのだ。Bランクのお前に勝てるとでも思ってるのか」
「勝てるのじゃ」
「あっはっはっは、お前は馬鹿か?俺がどれだけレベルアップしてると思ってるんだ。お前のレベルとは雲泥の差だ」
「そうじゃのぅ。レベル差はあるのぅ」
「そうだ。今更謝っても遅いぞ。俺の奴隷にしてやる事で許してやる。直ぐに元に戻せ!」
「ドーセツとナナミもレベル差があったが、呆気なく妾に負けたのじゃ」
「何!そんな馬鹿な。お前如きにナナミ達が負けるはずが無い!」
「試してみれば良いのじゃ」
カツエーは大剣を振り翳す。
「縮地!」
一瞬の内にエリの近くに踏み込み、大剣を頭上より振り降ろす。
ガシッ!
魔神パズズのバズがエリの前に出現し、その鋭い爪で大剣を受け止めた。
ドカッ!
バズがカツエーの腹に蹴りを入れて、蹴り飛ばす。
「んぐっ」
転がるカツエー。
「ぐふっ、強大な精霊と契約したか」
「クーコ!」
エリが呼ぶと空狐のクーコがカツエーの足元を疾風の如く駆け抜ける。
「くっ」
クーコの尻尾が鎌の形になっており、カツエーの右足が斬れていた。
「鎌鼬やねん」
「ライヤ!」
エリの呼び声で、鵺のライヤがカツエーの後方上空に出現。
「雷撃放出!」
ライヤの雷撃がカツエーに降り注ぐ。
「ぐあああああああ!」
ライヤの雷撃に痺れて呻くカツエー。
「今手加減、次本気」
無表情でカツエーを見詰めるライヤ。
「俺達がいないと魔王軍は倒せないんだ。ここから出せええええ!」
「お前等いなくても、全く問題は無いのじゃ。サラマンダー!」
サラマンダーがのそりとカツエーの左前方に出現した。
カツエーの右前方に移動したバズ。
左後方で身構えるクーコ。
右後方上空にはライヤ。
四方を囲まれ片膝を付き身構えるカツエーは、冷や汗が流れ動揺していた。
「これ程の精霊達と契約していたとは、大口をたたくはずだ・・・」
「消え失せるのじゃああああ!!!」
バズの風刃、ライヤの雷撃、クーコの狐火、サラマンダーの炎のブレスがカツエーを襲う。
そして、エリは弓を構え矢を放っていた。
上空から数百の矢がカツエーに突き刺さる。
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