第218話 魔法戦士ドーセツ

ダンジョンの地下室で対峙するエルフのエリと魔法戦士ドーセツ。


「エリ、お主だったか」


「ドーセツ、お主の事は見損なったのじゃ。普段は無口で特に妾に思うところが無いと思っていたが、妾の足を斬り、精霊の腕輪を壊したのぅ」


「・・・」


ドーセツは無表情で無言で、ただジッとエリを見ている。


「その所為で妾はカツエーに抵抗が出来なくなったのじゃ。故にお主の事を恨んでいるのじゃ。何か言う事はあるかのぅ」


「問答無用、是非も無し。行くぞ!」


ドーセツは右手の剣に魔力を流すと、ミスリル製の剣は炎を纏う。


一閃。


ドーセツは素速く踏み込むと、剣を草薙に払う。


ガツッ!


ドーセツの剣は鵺のライヤが爪で受けていた。


「ぬ!モンスター?」


ドーセツは素速く飛び退く。


「我精霊鵺」

鵺は狒々の顔から低い声で答える。


「随分強力な精霊と契約したな」


剣と盾をを構え直すドーセツ。


「ナナミやカツエーは、妾に嫉妬していたのは薄々気付いていたが、お主はそうでもないじゃろう」


エリはライヤの横でドーセツを見詰める。


「・・・」

無言で睨み構えるドーセツ。


「話す気はないのかのぅ」


エリは腕輪に掲げた。


「サラマンダー!」


エリの呼び声で、ドーセツの左側に出現したサラマンダー。


ゴオオオオオオオ!


炎のブレスがドーセツを襲う。


ドーセツは左手に持つ盾を翳しながら躱す。


サラマンダーは炎になり、ドーセツに飛び掛かる。


ドーセツが剣と盾に魔力を流すと、剣と盾には水の膜に覆われる。


ドーセツの身体も水の膜に覆われる。


ジュゥウウウウ。


サラマンダーの炎の身体を盾で受け止め、水が覆われた剣を振り払う。


シュパッアアア!


サラマンダーは飛び退くが腕を斬られた。


しかし炎の身体を剣が擦り抜け、腕は元に戻っていた。


「炎の弱点である水を、自在に操れる様になったのぅ。流石ドーセツ、腕を上げたのぅ」


「ふん・・・」


水の剣は倍の長さになり、水の盾も二回り大きくなった。


サラマンダーが再度ブレスを放つ。


ゴオオオオオオオ!


ドーセツは水の盾で軽々と防ぎ、そのままサラマンダーの方に進む。


「ドーセツ!妾がお前達を、Bランクに押し上げた自負があるのじゃ。その恩を仇で返した事に言い訳はあるのかのぅ?」


「笑止!亜人に話す言葉など無い」


「そうか、そう言う事か。お主は人族至上主義者だったのじゃな。長年一緒に活動したが分からなかったのじゃ」


サラマンダーは身体を回転し、尻尾を鞭の様に振り払った。


ドーセツは水の盾でサラマンダーの尻尾を受け流すと、水の剣を袈裟斬りに振り降ろす。


水の剣は伸びて、離れた距離のサラマンダーを斬り裂いた。


サラマンダーは炎になってエリの腕輪に戻る。


その合間にエリはライヤの上に立ち弓を放っていた。


ライヤからエリに雷が伝わる様に光輝いていた。


「終わりだ!さらば、ドーセツ!」


数百の疾風の雷矢がドーセツの身体を貫いていた。


ズシュ!ズシュ!ズシュ・・・。


「ぐふっ・・・」


倒れるドーセツ。


「水の弱点は雷じゃ。もっとも弱点など突かなくても、妾とライヤの速度に着いて来れる者などいないがのぅ」


「当然至極」


ライヤが無表情で応える。

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