第216話 魔法使いナナミ
エルフのエリの仇である冒険者パーティーである魔法使いナナミ、剣士カツエー、魔法戦士ドーセツをダンジョンの地下の部屋にそれぞれ別々に転移させ閉じ込めた。
ナナミ達を地下室に閉じ込めた後、すかさず砦部分のダンジョン化を解除する。
今回、魔王軍の砦内侵入があったことは、本当に運が良かった。
ダンジョン化を続けていれば、勇者リクトや聖女ミクの第六感スキルにより、怪しまれただろう。
しかし、魔王軍殲滅と大した時間差がなくダンジョン化を解除した事で、怪しんだとしても、ナナミ達の失踪は魔王軍の仕業と思うはず。
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ナナミの元に現れたエリ。
エリの後ろに俺とハーピーのハルカが立つ。
「ナナミ!久しぶりじゃな」
ダンジョン地下の壁を調べていたナナミがエリの方に振り向いた。
ナナミはいかにも魔法使いと言った出で立ちをしている。
鍔広の黒い三角帽子に長い金髪。黒いローブを羽織り、ゴスロリ風の黒と赤のドレスを着ていた。
手には複雑な意匠の長いミスリル製の杖を持ち、杖の上部に赤い宝石が輝く。
「ん?あんたは・・・」
「エリじゃ」
「!!!」
目を見開きエリを凝視するナナミ。
「エリ!あんたが私をここに閉じ込めたのね!ここはどこよぉ!ここから直ぐに出しなさい!この淫売がぁ!キィー!」
「淫売?妾の足を斬って、ゴブリンの巣に投げ込んだ人でなしの癖に、言ってくれるのぅ!」
「おっほっほ、ゴブリンの【ピー】は気持ち良かったかい、この淫売エルフがぁ!」
「うぬぅ・・・。許せんのじゃ」
「許せなかったらどうするのぉ? あんたとパーティーを組んでた頃の、小娘じゃないのよぉ。大陸一の大魔法使いナナミ様に歯向かった報いを受けるがいいわぁ!」
ナナミの身体から濃厚な魔力が溢れ出た。
「後ろの魔抜けと鳥女諸共、地獄におとしてあげるわぁ!」
ナナミの後方に複数の魔法陣が現れた。
「へぇ、流石勇者パーティーの魔法使いねー。多重魔方陣を瞬時に展開出来るなんてねー」
ハルカが魔力を纏うと、翼を拡げて宙に浮かぶ。
俺は無言で気を身体に纏い身構える。
「ここは妾に任せるのじゃ!妾の手で決着を着けるのじゃ!」
エリは右手を横に伸ばして俺達に待つように指示した。
「分かったよ。思う存分遣りな」
「頑張ってねー」
俺とハルカは手を出さない事にした。
「おっほっほ、3人纏めて掛かって来てもいいのよぉ!千人でも万人でも私には敵わないんだからぁ!」
ナナミは右手に持った杖を振り降ろす。
後方の魔法陣から数十の炎の槍が飛び放たれる。
「バズ!」
「承知!」
エリの叫びで魔神パズズのバズが俺達3人の周りに、巨大な風壁を展開した。
「無詠唱で数十の炎の槍かー。結構やるわねー」
ハルカは暢気に感想を述べる。
炎の槍は風壁に弾かれた。
「あらぁ?強力な風の精霊と契約したみたいねぇ。でも無駄よぉ!」
いつの間にか、複数の魔法陣の更に後ろに極大の魔方陣が展開されていた。
「灼熱の炎で消え去りなさいなぁ!
超極大戦略級魔法が、部屋全体を劫火で焼き尽くす。
ナナミの周りには、透明な光魔法の結界が球状になって、炎を防ぐ。
「おっほっほ。焼き尽くすのよぉ!」
部屋全体に炎が荒れ狂っていた。
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