第202話 3国連合5

催眠状態になった兵士達はまるでゾンビだ。


「行けえええええ!殺せええええ!」

ゲンサイ将軍の号令で兵士達が駆け出した。


腕が折れて通常ではあり得ない角度に曲がっているのに、痛みを感じず、潜在能力を全開にしている兵士は、折れた腕を振り回し攻撃してくる。


足が折れて立てない兵士も、腹ばいで迫って来る。


両腕が無い兵士は噛み付こうとする。


エリは矢雨を降り注ぐが、矢が刺さっても即死に至らない兵士達は、歩みを止めない。


オリハルコンの竜型ガーゴイルのドラガが、エリの前に進み兵士達を押し止めようとするが、潜在能力を全開にした兵士達は速度も向上し、ドラガの横を擦り抜けエリに迫る。


「ちっ、矢では止められ無いのう。出でよ!サラマンダー!」


エリはサラマンダーを召喚した。


サラマンダーは炎のブレスでドラガごと兵士達を焼き尽くした。


ドラガはオリハルコンなので、炎が効かず兵士達だけが燃えていく。


「くっ、駄目か、ナンデン伯爵逃げますよ」


ゲンサイ将軍はナンデン伯爵の腕を取り逃げる様に促すが。


「ええい!離せっ。此奴らが学園都市を襲った首魁であろう。息子の仇だ!人の世に害をなす者共は許せん」


ナンデン伯爵はゲンサイ将軍の手を振り払い、剣を抜き構えた。


「人の世に害をなすじゃと?魔力の無い者達を虐げて殺して来た、学園の関係者とその取り巻きこそ許せんのじゃ!」


「しょうが無いですな」

ゲンサイ将軍も剣を抜き構えた。


その時、ナンデン伯爵とゲンサイ将軍の足元に黒い影が見えた。


ズドオオオオオン!!!


上空からドラムが降りてきて、ナンデン伯爵とゲンサイ将軍を踏み潰していた。


「エリ殿、敵はどこだ!」


呆れ顔のエリはドラムの足下を指差す。


「そこで潰れているのじゃ。はぁ、良いところを持っていくとはのう」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ハーピーのハルカの前には、学園に在学していた息子を殺された、ライル王国のゴンダ公爵が立ち塞がった。


「お前等が!学園都市を占拠した賊たちかああああ!」


ゴンダ公爵が吠える。


「まあ、僕達はその仲間だねー」


宙に浮かびゴンダ公爵を見下ろすハルカとその隣に浮かぶ鵺のライヤ。


その下にはスケルトンの群れが歩いている。


ゴンダ公爵はライヤとスケルトンの群れを見た。


「やはり、魔王軍の手先であったか」


「魔王軍の手先ではないよー」


「人族の未来の為、ここで負ける訳には行かん」


「人族の未来?気功士や獣人や亜人は含まないのかなぁ?」


「魔抜けやけものや化け物が含む訳ないであろう。崇高なる人族がこの大陸を導くのだ」


「そう言う人なんだねー。じゃあ、皆殺しで良いねー」


「なにいいいい!」


ハルカ達の虐殺が始まった。

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