第180話 ギルドと都市の対応

ダンジョンの異変で、学園都市の冒険者ギルドは騒然となっていた。


「ダンジョンで、コボルトが大量発生しているんです!」

「ス、スタンピードか?」

「そうかも知れんが、コボルトの群れは下の階に向かっていたぞ」


「地下3階でコボルトキングを見ました!」

「え!マジか?」

「そんな上層階で何故?」


「仲間がコボルトにやられたああ!」


冒険者ギルドの受付には、低レベルで地下5階程度の探索をしている冒険者達が、興奮して報告している。


地下6階より下の階層を探索する中レベルの冒険者や、その下の階層に行った高レベルの冒険者は誰も帰って来ていない。


ダンジョンバトルに巻き込まれて、学園都市の冒険者の9割は死亡していた。


それもCランク以上の中レベルと高レベルの冒険者達だ。


ダンジョンから命からがら帰れた者は、Dランクの低レベルの冒険者のみ、しかも地下1階~3階程度の低階層の探索者の1部だけ。


他に学園都市の冒険者ギルドに登録していて生き残っているのは、偶々護衛等の依頼や休みを取って、ダンジョンに入っていなかった冒険者と、ダンジョンに入れない初心者であるEランク以下の冒険者しか残っていない。


冒険者ギルドでは、異常事態と言う事は認識出来るが、ダンジョンの状況は上層の事しか分からなかった。


ダンジョンに入っていなかった冒険者の最高ランクである、Bランクの冒険者パーティーに調査を強制依頼したが、戻って来ない。


現在ダンジョンにはレベルアップした、スケルトンナイトやヴァンパイアナイトが巡回しているため、ダンジョンに入った冒険者は瞬殺されている。


ギルドではお手上げの状況だ。


ギルドマスターは、学園都市の領主である最高魔導師ネシマに報告しているが、動く気配はない。


ギルドマスターは頭を抱えるばかりだ。


最高魔導師ネシマも冒険者ギルドの報告を聞いて、頭を抱える1人だ。


冒険者の存在意義の一つとして、周辺のモンスターの駆除があるが、絶対数が少なくなった冒険者ギルドでは、対応出来てもいない。


それに伴い街道の移動が危険になり、他国からの物流が極端に少なくなった。


また、ダンジョンで討伐した、モンスターの素材が都市に入って来なくなった事で、学園都市の経済に深刻なダメージを与えた。


領主のネシマは重い腰を上げ、街道の安全確保を優先として、都市周辺に兵を派遣し、ダンジョンは封鎖する方針を取った。


ダンジョンは、大量発生したモンスターが、都市に侵入しない様、壁を作り衛兵が監視したうえで、入口を封鎖した。


後回しにした訳だ。


その間、百獣迷宮はヴァンパイアナイトとスケルトンナイトが、ダンジョン内に居る事によって取得したDPを、着々と蓄える事が出来た。

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