第177話 ヒュドラ

学園都市の巨大ダンジョンのダンジョンマスターであるキングライオンは、追い詰められていた。


ショータ達はキングライオンの眷属である、追加召喚したモンスターを次々と倒して、地下95階まで到達していた。


キングライオンのいる地下100階の最深部まで残り5階。


「何でスケルトンナイト千体になってるんだああ!ヴァンパイア達もヴァンパイアナイトになりやがったああ!」


ふう、ふう。

鼻息も荒く興奮状態のキングライオン。


「こうなれば勿体ないが、大量のDPを使って強力なモンスターを召喚して、一発逆転を狙うぞおおおお!」


キングライオンの計画では、1万のオークがスケルトン達を撃破し、取得したDPで強力なモンスターを召喚するはずだったが、背に腹はかえられない。


取って置いたDPで、ヒュドラを召喚して、10階に転移させた。


キングライオンは、10階に接続された入口の向こうにダンジョンマスターがいると想定していた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


10階に接続した入口の前に巨大魔方陣が現れた。


魔方陣が光るとヒュドラが出現した。


ヒュドラは九つの頭を持った大蛇、二つの前足と二つの後ろ足もあり、一対二枚の竜の翼を持つ。


不死と言われており、首を斬り落としても、直ぐに生えてきて、猛毒のブレスを吐く。


ヒュドラは10階の入口から、ショータの迷宮に侵入して来た。


「お、なんか来たな」

ヴァンパイア真相のヴァラカがドラゴンのドラムと話す。


「ふむ。ヒュドラだな」


「待機している気功士達は、退却しろ!」


ヴァラカの号令で、戦闘に行かなかった気功士達は、拠点の地下に退避を開始した。


「儂が行こう」

ドラムが前に出てヒュドラと対峙する。


ヒュドラは口を開けると、魔力が口に集まってくる。


「毒のブレスか?」

ドラムも口を開き、魔力を集める。


ヒュドラが毒のブレスを吐き出す同時に、ドラムは炎を吐き出した。


ブォオオオオオオ!

ゴォオオオオオオ!


毒のブレスと炎のブレスがぶつかる。

毒は炎に焼かれて蒸発し、ドラムには届かない。


ヒュドラとドラムはブレスを吐きながら、互いに前進する。


バシュッ!


ドラムが右前足の爪をヒュドラに突き立て、ヒュドラの首を一つは飛ばす。


ちぎれて飛んだ首のあとからまた首が生えてきた。


「ふむ。不死身なのじゃな」


ヒュドラの首の一つがドラムの首に噛みつく。


アグッ!


「おい、ドラム!ヒュドラは九つの首を一気に斬り落とさないと死なないぞ!有効なスキルはあるか?」


ヴァラカがドラムに声を掛けた。


「むむ。一気には難しいのう」

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