第176話 キングライオンの苦悩

学園都市の巨大ダンジョンの最深部。


ダンジョンマスターのキングライオンは、椅子を蹴飛ばして怒り心頭だ。


「何故、勝てない?ここまで攻め込まれるなんて・・・」


巨大ダンジョンの最下層は地下100階、ショータ達は既に90階まで到達していた。


「10倍の数のモンスターを揃えたのにいいいいい」


キングライオンからすれば、通常であれば間違いなく勝てる戦いだった。


相手は千体のスケルトン、百人のヴァンパイア、百人の魔力が無い人間。


注意するべきは数人と考えており、その数人とは・・・。


高位のエルフであるエリ、ハーピーのハルカ、ヴァンパイアナイトのヴァンリ、ヴァンパイアアルケミストのヨシゾー、正体不明の雪女のユキと空狐のクーコの6人。


ケット・シーのペロはショータの影に潜んで見えず。魔神パズズのバズも風になってエリの周りを漂っている為、感知出来ていなかった。


ショータとダークエルフのダルは、魔力が無いので問題外。そう考えてた。


スケルトンとヴァンパイアは通常コボルトより強いがオークより弱い。


1万のオークで充分倒せるはずだった。警戒していた数人もオークキングを召喚した事で、オークと共に数で圧倒出来ると思っていた。


「何故?何故!オークがスケルトンにやヴァンパイアごときに負けるのだ!」


更に5千のコボルトが、地下9階より進軍し挟撃する、余裕を持った布陣。


「挟撃させたコボルトまでも全滅?」


誤算の一つは、ダンジョンマップの光点だけで判断してた為、スケルトンを直接見なかった事。


通常のスケルトンは骸骨に錆びた剣。とてもオークには敵わない。


しかし、ショータのスケルトンは王国の兵士の遺体より召喚した事から、王国の鎧をフル装備し、武器も盾と剣や槍、弓と兵士時代の武具を使っている事からオークと充分戦える。


弓で遠距離から攻撃し、接近してもオークの斧を盾で受けて、槍と剣で倒していく。


そして1番の誤算は気功士達。


魔力偏重社会の影響がここにもあった。


魔力の無い者など何人いても、コボルトさえ倒せないと思っていた。


気功士達はヴァンパイアと連係し、数倍のオーク達を圧倒した。


気功士は単独でも無双するし、スケルトンとヴァンパイアが多少負傷しても、気功で回復する。


ここがまた失策、オークを倒したスケルトンとヴァンパイア達はレベルアップしたのだ。


その為、オークの階を突破した後、追加で召喚した絶対勝てないはずの5千ミノタウロスを撃破し、更にレベルアップ、そして進化した。


スケルトンはスケルトンナイトに、ヴァンパイアもヴァンパイアナイトに進化した。


更にヴァンリはヴァンパイアジェネラルにヨシゾーはヴァンパイアワイズマンに進化した。


そして地下を降りて行き、追加召喚の人狼や猿人等百獣のモンスターの群れも次々と打ち破って行った。


迷宮の広さによる制限とDPの大量消費を躊躇った事から、1万づつに分けた追加召喚も大きな失策。


まさに、ショータの軍のレベルアップが、し易い状況になっていた。

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