第175話 強盗冒険者その後

強盗冒険者パーティー『闇の狩人』に襲われた冒険者のリーダーは、無念の表情で悔し涙を浮かべて見詰めていた。


麻痺した身体を必死に動かそうとするが、何処も動かず恋人を犯されそうになるのに何も出ない。


その時、『闇の狩人』の一人が悲鳴を上げた。


「ぐへっ、ぐああああああ!」

「何てクズ達なんでしょう」

現れたのは気功士ミクとアヤ達。


『闇の狩人』達は次々と殲滅されていく。

「ぐふっ、お、お前等何者だ!」


無言で殺していくミクとアヤ、そしてヴァンパイアのアル。


(助かった。)冒険者のリーダーが安堵したのもつかの間、女冒険者にもアヤは剣を突き刺す。


ズシュッ!

「ぐがっ、わわわ・・・」


「う・・・あう・・・うあ・・・」

眼を見開き必死に声を出そうとするリーダー。


「アヤ、此奴何か言いたそうよ」

ミクが『闇の狩人』の1人に止めを刺して、アヤを見る。


「ん、その様ね。キャルさん、一寸麻痺解除して貰っても良い?」


「分かった。顔だけ麻痺解除しましょう」

キャルはリーダーに近付くと、回復の気功をリーダーの顔に施す。


リーダーの顔から麻痺が無くなった。


「お前等ああああああああああああ!何者だああああああああ!何故仲間も殺したああああああ!」


堰をきった用に叫び出すリーダー。


「気功士だけど、何か?」

ミクが無表情で告げる。


「き、気功士?・・・」

リーダーは必死に考える。

何処かで聞いたことのある職業。


キャルの脇で、ミクとアヤに同行していた気功士のノノは、リーダーを睨んでいた。


そのノノを目にしたリーダー。

何処かで見た女の子。

・・・思い出した。

「魔抜けか!」


「そうよ、貴方達にいつも狙われて、追い掛けられて、殺されそうになるのを、怯えて逃げていた魔抜けよ!」

ノノの慟哭。


「魔抜け如きに殺されたのかああ!」

リーダーは叫ぶ。


「そうよ。だからどうしたの?」

アヤはリーダーに問う。


「貴方達この都市の冒険者は、冒険者のランクアップの際、人殺しの経験を積む為に、捕まえた魔抜けを殺すんだってね」


「うっ・・・。そ、それ・・・」

リーダーは口篭もる。


「我々気功士は、この都市の冒険者と魔術師を許さないわ!」

ミクは別の女冒険者に止めを刺すとリーダーに向かって歩いて来た。


「しかし、この都市から冒険者や魔術師がいなくなると、モンスターから襲撃されたときに防衛出来なくなるだろう。何より魔王軍からの脅威に対抗出来ないぞ!」

必死に説得を試みるリーダー。


「ははは、安心して貴方達がいなくても、私達が居るから大丈夫。だから貴方達が死んでも全く問題無いわ」

ミクが微笑している。


「もう良いでしょう。こんなクズ達と会話しても意味が無いわ」

アヤも別の『闇の狩人』に止めを刺して近付いて来た。


もうリーダーしか生き残っていない。


「自業自得ね」

キャルもリーダーの前に立つ。


リーダーは気功士達を睨む。


「私が遣ります」

ノノが震えた声で告げると、身体に気を纏う。


ノノ右正拳がリーダーに放たれる。


ドスッ!

「ぎゃああああああ!」

リーダーの悲鳴がダンジョンに響く。


その後、ミクとアヤ達は、ダンジョンの地下9階から上に登りながら、モンスターと冒険者、強盗冒険者達を倒して行く。


ダンジョンでは、気功士とモンスター、冒険者、強盗冒険者の四つ巴の戦いが繰り広げられた。

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