第151話 魔王と勇者
此処は古城の会議室。
この国にいる主だった仲間を集めて会議中だ。
「さて、本題の魔王の件について、情報共有しよう」
「ま、魔王ですかにゃ?」
ニャルマル商会のシャルさんが驚く。
「うん。ヴァンパイア真祖のヴァラカは、魔王軍の1部隊として、この国を攻めに来たんだ。そうだよね?」
「大枠間違いは御座いませんが、1部隊と言うのは語弊があります」
「そっか、実質4人だけだもんね」
始めは、ヴァンパイア真祖のヴァラカとヴァンパイアアルケミストのヨシゾー、ヴァンパイアナイトのヴァンリとヴァースの4名でこの地に来たんだろう。
「はい。魔王とは盟約を結んでおりまして、この国を落としたら私が貰う事になっておりました」
「ま、魔王軍ですか・・・」
侯爵の側近ポドスは呆然とする。
「ドラゴンに国軍が壊滅的なダメージを受けた今、ヴァンパイアの群れが王都を襲ったら、アウトでしたにゃ」
シャルさんは胸を撫で下ろす。
「王都の守りは手薄になっておりますから、危なかったです」
ポドスもホッとしていた。
「これは、ショータに救国の英雄として、莫大な報償を与えねばな」
ポンコツ侯爵は頓珍漢な事を言い出す。
「はぁ、そんなの要らないって、そもそも『暗黒の怪奇』の件は闇に葬る約束でしょ。ヴァンパイアを眷属にしたなんて、公表出来るわけ無いじゃん」
俺は侯爵をジト目で見る。
「そうです。侯爵様。偶々ショータ様がいてくれた事は僥倖でしたが、公表は出来ませんよ」
「ふむ。そうかぁ」
そうかぁじゃねえよ。このポンコツ!
「魔王軍の別働隊があちこちで、粉をかけている様だな。妖精の国でも猫の王国でも一悶着あったよ」
「そうでしたにゃ」
シャルが頷く。
「そうだったぜ」
モナジーも同意する。
「俺達は、成り行きで魔王軍と敵対してるから、戦力増強とレベ上げは、必要だな」
「そうじゃのう」
エリは俺の考えに賛同する。
「レベ上げするにゃ」
ペロがやる気を見せてる。
「ところで、魔王軍はまだ帝国と交戦中なの?」
魔王軍本体の動向は知っておきたいな。
「まだ帝国と戦争中だ、戦況は膠着で一進一退だぜ」
とモヤジー、流石情報屋。
「成る程、その前線にまだ勇者のパーティーがいるんだな?」
「ああ、エリさんの仇もそこにいるぜ」
そう、エリの仇の冒険者達はよりによって、勇者のパーティーになりやがった。迂闊に手を出せないのだ。
「エリ、今直ぐの復讐は難しいが、1度見ておくか?」
「そうじゃのう。妾が性奴隷として凌辱されていた期間に、どれ程レベルアップしているか見ておいた方が良いじゃろう」
「ついでに、もう1人の仇である帝国の貴族に、復讐しちゃおう」
「うむ。チャンスがあれば、それも良いのじゃが・・・。先に主様の仇に復讐した方が良いと思うのじゃ」
「俺の生まれた村かぁ。俺を崖から落とした苛めっ子達は、学園に入学したらしいからなぁ。そっちも厄介だ」
「わちきたちを、召喚した魔族達も忘りんせんでくんなまし」
ユキが遠慮がちにお願いしてきた。
「おう、大丈夫だ、忘れてないよ。但し、魔王軍と1戦構える事になるからね。レベ上げは必須だ」
「そうすると、次に目指すのは学園になるのじゃ。学園都市には大迷宮があるのじゃ」
「私も学園都市に行きますにゃ。ニャルマル商会も支援しますにゃ」
「俺も行くぜ。小人国もショータのサポートをする方針だぜ」
シャルさんとモナジーも同行するらしい。
どうなる事やら。
「有難う。方向的に少し廻り道になるけど、魔王軍と帝国の前線を確認してから、学園都市に行こう」
「「「「「「「はい」」」」」」」
ペロ、エリ、ハルカ、ユキ、シャルさん、モヤジー、ポンペ侯爵が返事した。
ん?
ポンコツ侯爵は関係無いだろう。
「侯爵と気功士と『暗黒の怪奇』は、サーキ王国に残って戦力増強に努めるんだよ」
「「「「「承知しました」」」」」
ヴァラカ、ヨシゾー、ヴァンリ、ポドス、アカネが頷く。
「おいおい、ポンペ!分かってる?」
「大丈夫だ。大船に乗ったつもりで任せるが良い」
お前が1番不安なんだよ!
「ポドス頼んだよ」
「は、はい。承知しました」
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