第126話 VS『白虎』

ダンジョン化した『殲滅の旅団』の拠点。


その1階扉を開けて直ぐの空間は、酒場からダンジョンのボス部屋に改造していた。


そこで待ち構えていた俺達と虎獣人『白虎』のタイガ達が戦っている。


Sランク冒険者の『凶鬼』カナタは、その身体を巨大な鬼に変異させて暴れ回る。


カナタと対峙する雪女のユキ。


カナタとユキの間に小さい蜥蜴が割り込んだ。


「儂も参戦するぞい」

蜥蜴はその身を大きく変えて、ドラゴンとなった。


「ぬ!ドラゴンだと!」

カナタの日本刀がドラゴンのドラムの首筋に当たるが、その刃を弾く。


ドラム右手前足の一振りが、カナタを弾き飛ばした。


「ド、ドラゴンだわ」

「何故こんなところにドラゴンが?」

「ハルカの仲間なのかあああ?」

「卑怯だぞ!」


焦るタイガ達。


その時、タイガ達の後ろから、濃厚で膨大な魔力の風が巻き起こる。


「我モ参上ダ!」

魔神パズズのバズが出現した。


「きゃああああああああ!」

思わず腰を抜かして悲鳴を上げる、兎獣人の『玉兎』ディア。


「な、何だこの濃厚な魔力はああ!」

「げっ、魔神だ!」

「助けてくれええええええ」


バズから逃げだそうとするタイガ達。


数名の冒険者はバズの風刃で切り刻まれ、残るはタイガのパーティーのみとなっていた。


前をよく見ていないタイガ達は、何かにぶつかり倒れる。


前に居たのはヌエのライヤ。

「我参戦。」


「魔獣だああああ!」

「ひぃ」

「あわわわわわ」


ライヤから雷撃が飛び放たれた。


「ぎゃああああああああああああ!」

手加減された雷撃に感電しピクピク震える。


「くっ、サラマンダー頼んだ!」

火魔法使いのエルフであるフィーダは、サラマンダーを召喚した。


炎を纏う小型の竜は、炎のブレスを吐いた。


炎のブレスの先には空狐のクーコ。

「ウチに任せてや」


クーコは数体の狐火を召喚した。

狐火はブレスの炎を吸収していく。


ブレスが吐き終わる頃に、狐火の炎はオレンジ色から青い炎に変化し、高温に変わった。


狐火の廻りが高温で熱を持つ。


鉄をも溶かす温度。


サラマンダーは驚愕する。

サラマンダーは低級の精霊で赤からオレンジ色の炎を操る。


炎の中級精霊は黄色から白の炎を操る。


そして炎の上級精霊しか扱えない、超高温の水色と青色の炎。


空狐のクーコが操る狐火はその青い炎になっていた。


サラマンダーは五体投地をして、恭順の意思を伝え震えていた。


超高温になった青い炎の狐火はタイガ達の廻りを取り囲む。


その高温がジリジリとタイガ達にダメージを与えて行く。


「あ、暑いいいいい!」

「ひぇ、あ、暑いだわ」

「た、助けて下さいいいい」


その時、タイガの仲間である闇魔法で人間のシャイラはタイガの影に身を潜めた。


しかし直ぐに影から飛び出る。


「いたっ!」


シャイラは手を斬られていた。


タイガの影から黒猫のケット・シーである『闇猫』ペロの上半身が出現した。


「逃がさないにゃ」

ペロの手には血塗られた短剣が握られていた。


「アタシがいるから、影に隠れて逃げる事は出来ないにゃ。しかし、ここは暑いにゃ」

ペロはそう言うと影に沈む。

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