第127話 『白虎』断罪

ダンジョン化した『殲滅の旅団』の拠点で、ハーピーの『風刃』ハルカの仇である、虎獣人の『白虎』タイガを追い詰めた。


空狐のクーコが召喚した狐火が、青い炎になってタイガ達を取り囲む。


その廻りを俺達が囲んでいた。


俺、人間のショータ。

ハーピーの『風刃』ハルカ。

エルフの『疾風』エリ。

黒猫ケット・シーの『闇猫』ペロ。

ダークエルフのダルア。

雪女のユキ。

魔神パズズのバズ。

ヌエのライヤ。

空狐のクーコ。


ドラゴンのドラムは前足で、俯せで倒れている『凶鬼』カナタを踏んづけていた。


「此奴は殺しても良いかな? ジタバタしてるから、つい力を入れてしまいそうだ」


「ふぐっ、ふぬっ」

カナタは必死にドラムの足から、逃れようとしていた。


俺はハルカを見た。


「良いよ。僕はそいつの事はどうでも良いから」


「分かった」

ドラムは前足に体重を乗せ始めた。


「むぐっ、た、助けて──」


ぶちっ。

ぐちゃっ!


Sランク冒険者『凶鬼』カナタ、ドラゴンに踏み潰されて、ここに死す。


「か、カナタさんがあああ!」

「あああああああ」

「ひい、助けてだわあああ」

「・・・」


タイガ達は頼みの綱だったカナタが、あっさり殺されたのを目撃し、悲鳴をあげた。


「闇魔法使いも、ハルカの仇では無いんじゃろ」

と矢を番えたエリが聞く。


「うん、そう。そいつは僕が抜けてから、加わったみたいだから」


「アタシがやるにゃ」

ペロから魔力が滲み出る。


「ひ、ひぃ。ま、待ってくれええ!」

闇槍が闇魔法使いシャイラの心臓を突き刺した。


「シャイラああああああああ」

「ひゃあ」

「・・・」


タイガ達は隣にいたシャイラが殺されたのを見て、顔を青くして怯える。


「わ、私は悪く無いだわ。全てタイガのやった事だわ」


「そ、そうだ。タイガに騙されたんだ。俺達は見逃してくれ」


兎獣人の『玉兎』ディアと、エルフの火魔法使いフィーダは助かりたくて、言い訳を言い始めた。


「僕に痺れ薬を飲ませたのはディア、痺れた僕の翼を斬ったのはフィーダだ。痺れていたが、記憶はある。誤魔化そうと思っても無駄だよ」


「だから、騙されたんだよ」


「その後、喜々としてタイガと2人で僕を凌辱した」


ハルカの風刃がフィーダを斬り裂いた。


バラバラになったフィーダ。


「ひ、ひえええええ」

腰を抜かすディア。


「そして、ゴブリンの巣に投げ込もうって言ったのはディア!」


「ちょっ、ちょっと待っ──。ぐはぁ。」

ディアの身体も風刃で斬り裂いた。


「残るは俺1人か」

タイガはふてぶてしく、ハルカを見る。


ハルカは無言でタイガを睨む。


「ハルカ、ドラゴンに魔神に魔獣。卑怯だと思わないか? 冒険者だったら自分の力で復讐しろ! 決闘だ! 決闘で勝負を着けろ!」


「なにいいい! のっ──」

俺はハルカの口を手で塞いだ。

望むところだ!とか言いだしそうだったのでね。


「痺れ薬で自由を奪って、翼を斬って魔法を封じ、凌辱した挙げ句にゴブリンの巣に投げ込む様な、鬼畜な変態に・・・、死刑以外の選択肢はねえええええええええ!」


俺はタイガの元に駆け寄り、顔面に気を込めた右拳を叩き込んだ。


「うげっ!」


「さあ、ハルカ! やっちまいな!」


ハルカの今までで最大最凶の風刃が、タイガの首を落とした。

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