第122話 『牛鬼』暗殺

次の日、朝食後冒険者ギルドに行く事にした。


救出した人達はダルアに丸投げだ。

護衛として、ヌエのライヤと空狐のクーコを屋敷に残す。


料理をダルアに教えて貰う為、ハーピーのハルカも屋敷に残す事にした。


魔神パズズのバズは、ダンジョン化した『殲滅の旅団』の拠点のボスとして残って貰ってる。


俺と冒険者ギルドに行くのは、

黒猫のケット・シー『闇猫』ペロ。

エルフ『疾風』エリ。

雪女のユキ。

ドラゴンのドラム。


俺の影にペロが潜んでいる。


エリとユキとドラムは何かあったときの為、近くの店で待機。


俺は気配を消して、冒険者ギルドに入る。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


仲間達との先日の会話を思い出す。


俺は、冒険者ギルドでユキとエリが襲われて、探索者の冒険者達を派遣しようとした時点で、ギルドを敵対認定。


サクッと行って皆殺しの勢いだったんだけど、エリとハルカが反対。


「皆殺しはちょっとやり過ぎじゃないかな?」


「冒険者なんてどうせ悪者しかいないんだし、ドラムが通常サイズでギルドの建物ごと上から踏み潰して、ブレスを吐いて更地にしても良いくらいだ」


「良い人もいるのじゃ」


「いるかなぁ?」


「僕はそうは思えないよ。キャルを助けた際、一緒に居た『月白の爪』のドルダさんとか、ギルドに居た『剣神』ジョウセンも悪い人じゃ無かったなぁ」


「かといって、このまま放置するのも何だかなぁ」


「ペロに探って貰って、悪い人だけ倒すのは、どうかな?」


「え~、面倒臭いよ。俺達は正義の味方じゃ無いからね。復讐者だよ。寧ろ悪者だし」


「忠告を破って探索者を派遣しようとした、マスターだけ殺すのじゃ」


「まあ、そのあたりが妥当か。マスターが、『殲滅の旅団』と組んでクーデターを起こそうとしてるしな」


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


ギルド内は閑散としていた。


通常は依頼の受注でごった返す時間帯だが、この国で最大人数の冒険者クランである、『殲滅の旅団』の団員がいなくなったからね。


俺は受付の奥の階段に進む。


誰も気付か無い。


ギルドマスターの執務室の前に立つ。


気配探知で中を探ると、1人椅子に座っている。


ギルドマスターで間違い無い。


扉を開き中に入った。


「誰だ!」


牛獣人『牛鬼』ゴウケツが居た。


さすがに気配を消しても、扉を開いて部屋に入れば分かるか。


「何者だ!」


「これから死ぬ者に、名乗る名前は無い。俺の仲間達が世話になったようだな。女性2人だよ。覚えは無いか?」


「あの時の・・・、申し訳無かった。その後、2人には手を出して無いはずだが・・・」


「警告を無視して、探ろうとしただろう」


「それで、探索者の冒険者が殺された。それで終わりでは無いのか?」


「命令した奴も同罪と思わないか?」


「ふむ。俺もただ殺されるのを待つ気は無い。これから一生で1度の大仕事が待ってるんだ」

ゴウケツは立ち上がり、斧を持ち構えた。


「クーデターか? もう計画は頓挫してるぞ。闇ギルドも冒険者達もその人員は大幅に減少しているしな」


「何故、それを知っている? 今日依頼の受注者が少ないのは・・・。貴様が何かしたのか?」


「問答無用」


ペロがゴウケツの影から現れ、一瞬の内にゴウケツを闇の触手で拘束した。


「な、何だこれは?」


ゴウケツが闇の触手に一瞬目を向ける。


その一瞬で充分。


気配を消した俺は、ゴウケツの後ろに回り込む。


「ど、何処に行った」


俺を見失ったゴウケツ。


俺はゴウケツの背中に手を当て、『生命力吸収』で一気にHPをゼロにした。


傷一つ無いゴウケツの死体が、執務室に横たわった。

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