第112話 魔抜けの人達を救出しよう

攫われた魔抜けの猫獣人キャルを助けて、誘拐犯達を倒した俺達は、『猫が安らぐ宿』に戻って来た。


キャルはベッドで寝かしている。


暫くすると、誘拐犯の1人である闇ギルドの猿獣人を尋問していたエルフのエリが、魔神パズズのバズと一緒に戻って来た。


「主様、申し訳ないのじゃ、口が固くて大した情報は得られなかったのじゃ」


「しょうが無いよ。闇ギルドって言うくらいだから、それなりに尋問の耐性もあるんだろう」


「うむ。敵ながらあっぱれじゃった。分かった情報だけ、伝えるのじゃ」


エリから尋問の結果で得た情報を聞いた。その情報は・・・。


闇ギルドのサブマスターで、二つ名が『闇猿』。


名前は不明。まあ、知らなくても影響は無いだろう。


誘拐や強盗等の荒事担当の部隊長。


ロウガとは以前から何度もその手の仕事を、共同でしていたらしい。


俺達についてどの程度の情報を得ているかは不明。


闇ギルドの今後の計画については、『殲滅の旅団』のクランリーダーである『白虎』のタイガが、この都市に戻ってから、事を起こす程度の情報しか得られなかった。


但し、闇ギルドの荒事部隊の主力が、今回の誘拐犯殲滅により壊滅したので、計画は難しくなるだろう。


「エリ、有難う。それだけの情報を得られれば充分だよ」


「そ、そうかのぅ」


エリの報告を一通り聞いた後、皆を集めた。


ハーピーのハルカの敵討ちの為、タイガ達に復讐する事を目的として、この都市に来た。


しかし、冒険者クラン『殲滅の旅団』の地下に、魔抜けの人達が囚われている事を知った。


魔抜けの人達を早急に救出したい。


「皆、タイガ達が戻るのを待とうと思ってたけど、『殲滅の旅団』に囚われている魔抜けの人達の救出をする事にする」


「賛成! 直ぐ助けに行こうよ」


魔抜けであるダークエルフのダルアは、今すぐにでも行きたい様だ。


「妾も助ける事に異論は無いのじゃが、助けた後、数十人の魔抜けの人達を、何処に保護するのか、生活をどうするのか、予め考えておかないと行けない事は多いのじゃ」


「僕も救助は賛成だけど、確かにそうだね。助けたは良いけど、助けた人達を何処で保護するか、食事や寝床を準備しておかないとだね」


お、珍しくハルカが建設的な意見を言ってるぞ。


「・・・そ、そうだね」


ダルアがシュンとして目を伏せる。


うん。俺が考えていた事を、皆も考えてくれた様だ。


「その件について、考えていた事があるので、聞いてくれ」


皆は俺の方を見る。


特にダルアは期待を込めてキラキラした眼で見詰める。


皆は俺の提案に賛成してくるだろうか? 特にダルアがね。

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