第108話 古城跡

『猫が安らぐ宿』で情報共有が終わり、エルフのエリが魔神パズズのバズを召喚したので、キャルを助けに行く事にした。


全員で行く。


だけど、全員で正面から行くのは下策だ。


気配を消して行ける俺と、影に潜める黒猫のケット・シーであるペロ、風になると認識出来ない魔神パズズのバズ、冷気になって認識出来ない雪女のユキが先行する。


残るメンバー6人、

 エルフの『疾風』エリ。

 ハーピーの『風刃』ハルカ。

 ダークエルフのダルア。

 ドラゴンのドラム。

 ぬえのライヤ。

 空狐のクーコ。


は正面から行って貰う。


バズがエリの契約精霊なので、俺達とエリ達は、離れていても念話で連絡が取れる。


先ず王都北の森を探索し古城跡を探す。


俺とペロ、バズ、ユキの4人は隠れて森に入ると、古城跡は直ぐに分かった。


だって、俺達を警戒して古城跡の周りに隠れている奴等が大勢いるんだよ。


気配探知でバレバレだ。


猿獣人が多いので、闇ギルドの関与は確実かな。


それから怪しいのは、『殲滅の旅団』の狼獣人ロウガと商人で狸獣人のポンタあたりか。


周りで見張りをしてる奴等をスルーして、古城跡に進む。


古城跡は廃墟になって朽ち果てた古城。


塀は崩れ落ちていているが、建物は辛うじて残ってる。


所々で松明を焚いているので、分かり易い。


中央の謁見場の跡に縛られてるキャルを発見。


キャルの後ろまで移動して様子を伺う。


案の定、ロウガ達のパーティとポンタがいる。


ん!


見た事があるケット・シーがいるぞ。


狐目のケット・シー。


「ホクシンだにゃ」

ペロが小声で教えてくれた。


猫の王国で俺達に絡んできた厭な奴。


国王に牢屋に入れられたと聞いていたが、何でこんなところに・・・。


「本当にこんな魔抜けの小娘を人質にして、ショータが来るのか?」


ホクシンがロウガに聞く。


「詳しくは契約魔法で縛られて話せない。良いから俺の言う事を聞いてくれ。来た奴等を殺すんだ」


ロウガはホクシンに答えた。


契約魔法で『俺達の事は漏らさない、漏らしたら死ぬ』契約をしたはずだけど、話さなければ良いのか?


契約魔法も要注意だな。


ロウガは闇ギルド員らしい猿獣人を向いて、「このケット・シーは役に立つのか?」ってホクシンの事を聞いていた。


「腕は立つ。猫の王国の牢屋から助けた仲間だ。魔抜けの男に恨みがあるのだ。今回の計画を聞いて参加を願い出た」


おやぁ、ホクシンは闇ギルドだったのか。


「魔抜けの男は俺が倒す」


ホクシンは剣を抜いて降り下ろした。


そこに別の猿獣人の男が走り込んで来た。


「魔抜けの女とエルフの女とハーピーの女が来ました」


「魔抜けの男とケット・シーはいないのか?」とホクシン。


「小さい蜥蜴と狐とアライグマが一緒にいますが、魔抜けの男とケット・シーはいません」


「ふむ。明日と言ったのに、合流前に慌てて来たのか?」


商人の狸獣人ポンタは顎を手で触る。


「女三人程度なら、そいつらも人質にすれば良い」とホクシン。


「そうだな。明日まで楽しませて貰うか」


ロウガは下卑た笑いを浮かべる。

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