第107話 獣人国のクーデター計画

黒猫のケット・シーで『闇猫』のペロが、『殲滅の旅団』の拠点に忍び込んで探った情報は驚愕だった。


俺が酒場で聞いた噂は全て真実で裏が取れたんだけど・・・。


「クーデターああああ?」


俺もビックリ。


クーデターを企んでいるらしい。


冒険者クランが国を乗っ取るって、そんな事出来んの?


馬鹿じゃないの。


なんて思ったが、そうでも無いらしい。


獣人国を治める獅子王は高齢で、余命幾許いくばくも無くとこす状況。


二人の息子がいて、長男が跡を継ぐ予定ではあるが、すこぶる評判が悪いらしい。


そこで、次男を担いで王権奪取する計画。


獣人国は獅子王と12人の貴族家である獣人国十二神将が治める。


その内、ハーピーのハルカの仇である、虎獣人『白虎』を継いだタイガと、兎獣人『玉兎ぎょくと』を継いだディアの2家が、『殲滅の旅団』にいる。


そして、冒険者ギルド長である牛獣人『牛鬼』を継いだゴウケツ、闇ギルド長である猿獣人『猿神』を継いだ男の、2家も仲間であり合計4家。


因みに『猿神』の男の名前は不明だ。


名前なんてどうでもいいので、『猿神』で通そう。


竜獣人『青龍』と蛇獣人『玄武』、鳥獣人『朱雀』は、それぞれ獣人国の東、北、南の辺境にいて王位に関与しないらしい。


前も思ったが、竜と蛇と鳥は獣では無いけど、気にしない事にしよう。


竜人、蛇人、鳥人の方が、しっくりくると思ってるのは俺だけだろうか?


余談だが虎獣人『白虎』は、西を守る辺境伯なんだけど、族長のタイガは割と自由に冒険者クランなんかやってる。


残る5家は・・・。


諜報部隊長である鼠獣人の『鉄鼠てっそ』。

騎士隊長である馬獣人の『天馬てんま』。

宰相である羊獣人の『羵羊ふんよう』。

近衛隊長である犬獣人の『犬神いぬがみ』。

将軍である猪獣人の『猪笹いのささ』。


5家は獅子王には従っているが、5家の全てが長男派と言うわけでは無いらしい。


長男派は『鉄鼠てっそ』『羵羊ふんよう』『犬神いぬがみ』の3家。


天馬てんま』と『猪笹いのささ』は、中立派。


大きな内乱に発展させない為に、自領の兵士は使わず、冒険者で人数の少ない近衛隊を倒し、闇ギルドのメンバーで諜報部隊を出し抜いて、獅子王長男の王子と『鉄鼠てっそ』『羵羊ふんよう』『犬神いぬがみ』の4人を倒せば、目的達成出来る見こみなんだそうだ。


そう言われると、無謀では無い様に聞こえてくるから、あら不思議。


特に獣人国の王位について何の興味も無いので、関係していない人達だったら、『勝手にやって下さい』って話だけどね。


『殲滅の旅団』と闇ギルドと冒険者ギルドって、俺達と敵対してるからね。


争わせて漁夫の利を狙う手も有るけど・・・。


仇は、ハルカ自身の手で討たせてやりたいじゃない。


よって『殲滅の旅団』を殲滅するのは確定だ。


しかし、ペロの諜報能力って凄い。


この短時間でこれ程の情報を集めるとは、侮れないね。

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