第76話 小人国に行った

風の大精霊、魔神パズズを制圧しエリの契約精霊にした。


パズズはひざまずき無言で控える。


モヤジーがドラムの影から現れた。

「こんなの信じられないぜ。

魔族に洗脳された精霊が人を襲っていたなんて。しかもその大精霊と契約してしまうとは、ショータさんは全く規格外だぜ」


「危なかったけどね」

「パズズは強かったにゃ」

ペロが影から出て俺の隣に来た。


「でも大丈夫か? 人を殺しまくった精霊を従属してるのを知られたら、ショータさんの立場が危うくなるぜ」


「パズズは誰も見た事が無い、正体不明の魔物でしょ? 誰も見た事が無いならパズズが犯人とはバレ無いよね」


「それはそうだけど・・・、精霊に何のお咎めが無いのも、何か納得出来ないぜ」


「人族が精霊に罰を与える事は出来ないじゃろ」

エリがパズズの隣から進み、会話に混ざってきた。


「ん~・・・」

モヤジーは腕を組んで黙り込む。


「今後、どうするかを考えよう」

「先ず、モヤジーを小人国に送って行くにゃ」


「それは確定じゃな」


「当初の目的だった、エリの契約精霊をGETしたんだしー。次の目的の為に他の国に行けば良いよー」

ダルアはドラムに抱きついている。


「ちょっと待って欲しいぜ。まだ精霊達が小人国や妖精国を狙ってる筈。魔族の存在も怖いぜ」


「精霊達は何とかした方が良いね」


「取り敢えず食事にしよう。僕はお腹が空いたよ」

ハルカが調理器具をアイテムバッグから出した。


「ハルカは食事の準備を頼むね」

「OK。手早く作るよ」

ハルカは食事の準備を始めた。


「パズズ、精霊達は精霊の泉にいるのかのぅ?」

「精霊ノ泉ニ殆ド全員待機中ダ」


「それなら、精霊の泉に一度行く必要があるね」

「そうじゃの」


「パズズ、『殆ど』って何匹かは精霊の泉から出てる者もいるのか?」


「何体カハ、泉ヲ出テル者モイルダロウ」


「精霊は自由気ままだからのぅ」


「まあ、泉を出てる精霊を気にしてもしょうが無い。取り敢えず食後に小人国に行こう」


俺達はその場で食事に終えた。


パズズは体長が3mぐらいあって大きいからね。このまま町に入れる事は出来無いだろう。


「パズズ、このまま同行すると、色々問題あるんだけど、ドラムみたいに小さくなれるかね?」


「我ハ小サクハナレナイ」


「主様、契約した精霊は精霊の腕輪の中に収納する事が出来るし、遠くにいて貰って、必要な時に召喚する事も出来るのじゃ」


「精霊の腕輪に閉じ込めるのは可哀想だから、精霊の泉に先に行って精霊達が都市を襲うのを中止して貰おうか。そしてパズズは必要に応じて召喚しよう」


「そうじゃのぅ」

「承知シタ」


パズズは風になって、精霊の泉に向かった。


俺達はドラムに乗り、小人国に向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー

小人国の手前でドラムから降りる。

ドラムは小鳥サイズになってダルアの肩に飛び乗った。


モヤジーは俺の肩に乗り、小人国に近付く。


小人国は普通の人間の国と変わらない大きさだった。


都市を囲む高い石壁。

鉄製の大きな門と扉。


歩いて小人国の都市へ行く。


「モヤジー、小人国だから小さい都市だと思ってたけど、人族の都市と変わらないね」


「人族も多く住んでいるからだぜ。

小人サイズだと、小人しか住め無いぜ」


「そうだね」


小人国の門についた。

門番が二人槍を持って立っていた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る