第77話 猫が安らぐ宿はやっぱり豪華だ

風の大精霊、魔神パズズをエリの契約精霊とした後、小人国に行った。


小人国の首都の入口、門の前。

門には大きな鉄の扉が付いているが、今は空いている。


門番が2人、槍を持って立っていた。

門番は小人では無い。犬獣人と人間。


「こんにちは!この都市に入る目的を教えて下さい」

随分爽やかで丁寧な口調の門番だ。


「俺達はこの人の護衛で来ました。何日か休んで、都市を出る予定です」

と言って、モヤジーに話を振る。


「おう!俺は帰省だ。ムナジーの息子モヤジーだぜ」


「あ!モヤジーさん。お久しぶりです。どうぞお通り下さい」


すんなりと無料で門を通過した。

モヤジーの親父は都市の有力者か?

名前も売れてるみたいだ。


「じゃあ、モヤジーお疲れ。実家に帰って落ち着いたら、都市を案内してね」


「おう!後で俺の実家にも招待するぜ」


街中に入ると俺達はモヤジーと分かれて、モヤジーに予め聞いていた小人国の猫が安らぐ宿に向かった。


小人国の猫が安らぐ宿の敷地は猫の王国にあった宿より小さいが、建物の高さは高かった。


猫の王国の宿がリゾートホテルで、小人国の宿は都市型の高級ホテルだ。


入口を入るとドアボーイが挨拶をしてドアを開ける。

「いらっしゃいませ。どうぞ」


手を上げて挨拶して俺達はフロントに進む。

ちょっと金持ちっぽい。

お金は持ってるぞー。


フロントは女性の犬獣人。

「いらっしゃいませ、ご予約のお客様でしょうか?」


「予約はしていません」

と言ってライガから貰った黒いカードを出した。


フロントの犬獣人は目を見開き、一瞬驚きの表情から直ぐに元の優しい眼差しに変わる。

「エクセレント会員のお客様ですね。最上階のスペシャルルームにご案内致します」


フロントの犬獣人の女性がベルを鳴らすと、ベルガールの人間の女性が現れスペシャルルームに案内してくれた。


部屋に着くと、部屋の装備や宿の施設について丁寧に説明して貰って、夕飯は部屋でとる事にした。


「しかし広い部屋ねー」

ダルアがソファーに飛び乗る。


「こっちの部屋は妾が使うのじゃ」

エリがリビングの隣の一部屋に入って、何か錬金をする気だ。


「僕はお風呂入ってくるよ。一緒に入ろうよ?」


ハルカが俺をお風呂に誘うが、まだ勇気が出ない。


「いやいや、嫌じゃ無いけど・・・、その内一緒に入ろう。今夜は女性だけでどうぞ」


「アタシも入るにゃ。ハルカ一緒に入ろうにゃ」

「妾も入るのじゃ」

ペロとエリもお風呂に向かった。


森を狩りながら進んで、パズズと戦ったからね。

お風呂に入ってスッキリしたいよね。


先程ベルガールに説明された時確認したが、流石スペシャルルームだけあって、全員で一緒に入っても余裕の広さのお風呂だった。


一緒に入ったらそれはそれで楽しいだろうけど、初めてだから2人きりでも緊張するのに、男1人と女性4人って、ハードル高いよ。


「ダルも入るー」

ダルアはリビングで服を脱ぎだした。


「おいおい、ここで脱ぐなよ!」

見ない振りしてしっかり見ました。


「えへ。ダルはセクシーでしょー。

後で来ても良いよー」


ダルアは俺の視線を意識して、全裸でポーズを付けて俺を挑発すると、微笑んでお風呂に向かった。


ヤッバー、元気になっちゃうよ。


ドラムがソファーの上で横になって、眠そうにしていたが、俺に一瞬冷ややかな目を向けていた。


俺はスペシャルルームを、念の為迷宮化した。

迷宮化すると色々メリットがある。


盗聴や侵入があった場合に直ぐ分かるし、壁を強化出来るので、外から部屋毎攻撃されてもビクともしない。


大群で攻め込まれても、罠設置や魔物召喚が出来るので、対応可能だ。

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